研究課題/領域番号 |
22500720
|
研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
道明 美保子 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (60074085)
|
キーワード | 沈殿藍製法 / ナンバンコマツナギ / 琉球藍 / 残滓色素の利用 / 乾燥藍葉 / 染色条件 |
研究概要 |
沈殿藍製法を琉球藍葉およびナンバンコマツナギ品種藍葉において沖縄本島と石垣島で調査した。琉球藍葉の発酵安定のための漬け込み時間はナンバンコマツナギ藍葉に比し長く、気温18~l9℃では72時間、気温23~24℃では48時間、気温25℃では36時間、ナンバンコマツナギ藍葉では気温28~30℃では19~20時間であった。使用するアルカリ剤は消石灰で、藍草の3.5~5%、藍草の品種、栽培地の気温により攪拌方法、静置時間にも大きな差があった。 沈殿藍作製後の残滓藍葉の活用の可能性を探るために、ナンバンコマツナギ残滓からスクモ、琉球藍残滓から堆肥を作成し、インジゴが示す611nm付近の吸収の有無を調べた結果、インジゴが示す611nm付近の吸収が存在した。沈殿藍作製後のナンバンコマツナギ残滓からのスクモ作成は有効であるが、琉球藍残滓からの堆肥中にはクロロフィルの存在が多かった。琉球藍残滓は堆肥として活用できるが、本土に比べて温度の高い沖縄ではすぐに腐敗し虫の発生もあり琉球藍残滓からのスクモ作製は解決すべき点が多い。 藍草に含まれるインジゴは泥藍やすくも藍に加工して染色に用いられるが、多くの手間と精巧な技術が必要なため一般には普及し難い。乾燥藍葉を前述の加工をせず染色に用いる方法を検討し、藍製造行程を簡略化するとともにと新たな染色方法を検討した。得られた結果は、以下のとおりである。1)乾燥藍葉の粉砕粒子の大きさは染着量K/S値および染色物の色相に大きな影響を与えないが、微粉末にすることにより扱いやすくなる。2)アルカリ・還元浴作製はNaOH:0.6g/L、ハイドロ:1.5g/Lが適切である。3)染色時間は10分間で染着量はほぼ一定になる。4)染浴温度は24~60℃では染着量K/S値に大きな影響を及ぼさず、染浴温度の上昇と共に僅かに減少する。5)別浴で染色すると、染色回数の増加に従い染着量は直線的に増加した。同浴での染色でも、別浴染色に比べ僅かに染着量は劣るが同様に増加した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成22年度に藍草に含まれるインジカンをインジゴに変える酵素インジカナーゼの活性を促す方法を藍草5種類を用い、インジカンとインジカナーゼの接触、光、熱の影響を処理後の藍草内のインジゴ測定より検討した。平成23年度は沈殿藍製法の調査を沖縄で実施し、藍草の発酵安定のためのアルカリ剤、撹拌方法と時間を知ったが、藍草の品種、栽培地の気温により撹拌方法、静置時間にも大きな差があり、基準方法を導くことは困難であった。また沈殿藍製造後の藍草中のインジゴ量の測定からナンバンコマツナギ品種のスクモ藍製造への活用は可能であった。さらに当初計画にない乾燥藍葉を用いた新たな染色方法を検討した。
|
今後の研究の推進方策 |
乾燥藍葉を用いた染色方法の再検討を行い本研究をまとめる。 沈殿藍製造では、藍草の品種栽培地の気温により攪絆方法や静置時間にも大きな差があり、共通する独自の基準方法を導くことは困難である。またインジゴ生成および乾燥に用いる生産向上のための器具の試作は行わない。 これらに変え、藍草に含まれるインジゴは泥藍やすくも藍に加工することには多くの手間と精巧な技術が必要なため一般には普及し難いので、乾燥藍葉を前述の加工をせず染色に用いる方法を検討し、藍製造行程を簡略化するとともにと新たな染色方法を示す。得られた手法により綿布を染色しその効果を再検討する。
|