研究課題
紙おむつは今や育児と介護の必需品であり、その消費量は拡大している。使用後の紙おむつはおもに焼却処理がなされているが、多量の水分を含んでいるために燃焼の妨げとなっている。使用後の紙おむつから吸水部分を分離して水洗トイレに流すことができれば、焼却時の環境負荷を低減することができる。これを実現するためには、吸水部分に含まれる高吸水性樹脂を下水処理場の活性汚泥中で生分解可能なものにすることが鍵となる。生分解可能な高吸水性樹脂を実現するための原料として、綿セルロースを用いて検討した。綿セルロースは種々のセルロース類の中で分子量が高く、高吸水性を達成しやすいと考えられるためである。最も代表的な水溶性セルロース誘導体であるカルボキシメチルセルロースを用いた場合、高吸水性と生分解性の両立が困難であった。一方、カルボキシエチルセルロースの場合は両立可能な範囲が存在することが判明したが、合成方法が複雑であった。より簡便な方法で両立可能なものを得るべく、セルロースにプロピレンオキシドを付加させた後にクロロ酢酸を用いてカルボキシメチル化する検討を行った。生成物は良好な生分解性を示したが、吸水性能がやや低かった。しかしながらこれらの結果はセルロース骨格と親水基との間に適当なスペーサーがあると両立可能な範囲が存在する可能性があることを示唆しており、引き続きこのコンセプトを元に検討を進める予定である。
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Bulletin of Faculty of Human Environmental Science, Fukuoka Women's University
巻: 42 ページ: 7-10
巻: 42 ページ: 11-14
巻: 42 ページ: 15-19
http://www.fwu.ac.jp/~yoshimura/top/top.htm