研究課題
使用後に、吸水部分を本体から分離し、水洗トイレに流すことが可能な紙おむつを実現するための基礎検討を行うことが本研究の主な目的である。これを実現するためには、吸水部分がすべて生分解可能な材料から構成されていることが必要である。現行品では、吸水部分は、綿状パルプと、吸水紙と、高分子吸収材からなっている。綿状パルプおおよび吸水紙は生分解性を有しているのに対し、現行の高分子吸収材は生分解性を持たない。したがって、生分解性高分子吸収材の開発が本研究の鍵となる。本研究では、身近で豊富に存在する天然資源であるセルロースを原料として、生分解性を有する高分子吸収剤の開発を進めた。これまでの知見を生かし、下記の検討を進めた。1.グルタル酸無水物によるエステル化これまで、コハク酸無水物を用いて検討を行ってきたが、耐加水分解性に懸念があった。そこで本年度の検討では、コハク酸無水物よりも炭素が一つ多い、グルタル酸無水物を用いて検討を行い、耐加水分解性の向上に加え、基本特性にどのような影響を及ぼすのかを検討した。その結果、グルタル酸無水物は反応性がやや低く、室温では反応しないものの、60℃程度に加熱すると問題なく反応することが明らかとなった。生成物は高い吸水性を示し、純水中で420g/g、0.9%食塩水中で140g/g、3.5%食塩水中で100g/gと、コハク酸セルロースよりも高い吸水性を示した。活性汚泥中での生分解性は、未変性のセルロースに匹敵する良好なものであり、コハク酸セルロースと同等であった。このことから、側鎖にエステル結合を経由して親水基を導入した本研究のセルロース誘導体は、吸水性と生分解性両立可能であることが明らかとなった。2.架橋の検討どのような方法が両立に有効かを調べた。これまでの検討の範囲内では、ジビニルスルホンが最も効果的な架橋剤であった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Bulletin of Faculty of Human Environmental Science, Fukuoka Women's University
巻: 43 ページ: 1-4
巻: 43 ページ: 5-8
巻: 43 ページ: 9-12