研究課題/領域番号 |
22500730
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研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
前田 智子 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 准教授 (00346298)
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キーワード | アマランス / ソバ / 発芽 / 低アレルゲン性 / アミノ酸 / 納豆 / 小麦 / 味噌 |
研究概要 |
1.昨年度に調製した発芽ソバと発芽アマランスを用いて、加工食品を調製し、それらの美味しさを中心とした検討と、蛋白質の変化、ならびにアレルゲン性について調べた。特に、発芽穀物の伝統食品への利用として、納豆および味噌を調製し品質評価を行った。即ち、昨年購入した味認識装置により、製品の抽出液中の甘味、塩味、苦味、辛味、うま味について測定した。同時にパネリストによる官能評価も行った。即ち、通常の小麦や大豆を添加して作られた市販納豆ならびに味噌と比較し、味覚試験、官能評価を行った。さらに、納豆と味噌の熟成期間中での、色、外観、香り、pH、酸度(TTA)を測定後、納豆と味噌から定法により水溶性成分を抽出し、アミノ酸と還元糖を定量し、醗酵・熟成過程におけるそれらの変化を調べた。以上の化学的手法による成分分析結果と、味覚評価、官能評価結果の相関性について検討した。 2.調製された納豆と味噌について醗酵・熟成過程における蛋白質の変化を調べた。加工食品中の蛋白質の変化を調べるため水溶性蛋白質のみならず不溶性・水溶性いずれの蛋白質についても検討した。各種発芽穀物の水溶性、食塩水可溶性、70%エタノール可溶性、0.IN酢酸可溶性成分を定法に準じて順に抽出し、醗酵・熟成段階における蛋白質の組成比を測定した。さらに、各種蛋白質成分についてアレルゲン反応試験を行い、醗酵・熟成過程が抗原・抗体反応にどのような影響をおよぼすかを調べた。 以上の結果から、低アレルゲン発芽ソバとアマランスの調製、ならびにそれらの加工特性、機能性、食味性を検討することで、これらの新奇加工食品の食品としての有用性を探究した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基本的に計画していた実験を実施できた。しかしながら、各種実験結果の相関性についての分析と解析については、不十分である。また、当初予定していた生麺、製菓への応用については、最終製品の品質がかなり乏しく、良好な加工性を示さなかったため、調製を継続しなかった。また、再現性を得られないデーターもあり、結果の総括ができていない。来年度には、この点に留意し、データーの分析と追試験の必要性などの検討を行い、発芽穀物の食品としての有用性(美味しさ、機能性、加工特性)を追求し、整理を行う。
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今後の研究の推進方策 |
発芽穀物を用いた食品を味覚センサーで評価すると、センサーの損傷が特に大きく、センサーの交換を再度実施した。また、味覚センサーでの味の評価と官能評価で得られた味の評価に、統一性の見られない面もあった。実験試料が、液体ではなく、熟成を伴った固形物であるため、味の認識が複雑であったのではと考えられた。従って、今後は、味覚センサーの結果のみならず、化学的な成分分析結果も重視しながら、官能評価実験を複数回行うなど、総合的に発芽穀物を含む食品の味覚についての評価を行っていくこととする。 また、発芽アマランスとソバによる製麺および製菓への応用は、最終製品の品質に安定性がないため、調製を継続せず、最終製品の品質に良好な結果が得られた伝統食品(味噌、納豆)への応用をさらに深めることとする。
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