研究概要 |
本年度は、徳島県勝浦郡上勝町で阿波晩茶の生産実態について現地調査を行った。その結果、製造段階でこれまで大変な作業とされている、揉捻工程の舟型のすり機を使用する"船すり"がある。この工程は、現在緑茶製造に用いる揉捻機に良く似た機械を用いて行っていた。この揉捻機を用いる生産者が最近増加の傾向であった。これまで舟型を用いて人力で往復100回の操作が、揉捻機を用いると3分間で終了し、桶漬けなどの作業が1人で同時に実行できていた。その結果、製造時間の短縮になっていることが明らかとなった。 阿波晩茶の重要なポイントである"桶づけ"での微生物の分離は、漬けこみ中の桶の上部・中部・下部から行った。分離した微生物を各種選択培地で単離した。その結果Lactobacillus pentosus, Lactobacillus plantarum, Enterococcus faecium, Enterococcus aviumを分離・同定した。一方QIAGEN Dneasy blood & tissue kitを用いて各分離微生物からDNAを抽出、2つのプライマーを用いて16S-rRNAの解析を行った。その結果、1494bpの塩基配列を明らかとした。解析の結果Lactobacillus属.Enterococcus属等の判別は可能であったが、詳細な判別には新たなプライマーを設計する必要が明らかとなった。 後発酵茶の抗酸化性の測定方法として、DPPH法が有効であり、阿波晩茶の浸出液に存在することが示唆された。今後、どの成分に抗酸化性があるかについて検討する予定である。
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