高齢化社会の進展と共に、嚥下機能の低下した者は増加している。嚥下機能が低下すると、食べるものだけでなく、飲むことのできるものも制限されるため、脱水に陥りやすい。このため、十分に水分を補給することが重要となるが、嚥下反射遅延の見られる患者では、水のようなさらさらした液体で、誤嚥を起こす可能性がある。そのため、とろみ調整食品によりとろみをつけて提供することがある。しかし、現在日本にはとろみの物性測定方法に基準がなく、統一がなされていない。本研究では、とろみの測定方法の確立を目的とし、適切な評価方法について検討する。 本年度は、現在日本で広く使用されているスピンドル型回転粘度計を使用し、市販とろみ調整食品を水に溶かした溶液の物性の特徴を把握することを目的とし、研究を進めた。その結果、原材料の違いにより、粘度発現の程度に違いがみられることがわかった。また、高齢者にとって飲み込みやすいとろみの濃度の検証を既に行っているため、それらの粘度範囲を知ることができた。平成23年度は、さらに広範囲のずり速度で粘度測定が可能なコーン・プレート型回転粘度計を用い、得られるデータがスピンドル型回転粘度計と違いが見られるのか、とろみの物性測定にはどちらの粘度計で測定するのが適切であるのか、適切なずり速度はどの程度であるか等、測定方法に関する検証を行っていく。
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