研究課題/領域番号 |
22500735
|
研究機関 | 山口県立大学 |
研究代表者 |
島田 和子 山口県立大学, 看護栄養学部, 教授 (70145936)
|
キーワード | 豆腐 / マルトール / DDMPサポニン / 豆腐製造条件 / 遊離糖 / 官能評価 |
研究概要 |
1.加熱条件の違いによるマルトールの生成量の検討。 生豆乳を閉鎖系にて熱処理[温度(80、85、90、95、100、105℃)、時間(10、30、60分)]して各豆乳を調製し、それらのサポニン量とマルトール量をHPLCにて測定したところ、加熱温度が高い程、また加熱時間が長い程DDMPサポニンは分解され、グループBサポニンとマルトールの生成量は多くなった。生成したマルトール量は、加熱により増加したグループBサポニン量の約30%(モル比率)であった。開放系加熱は閉鎖系加熱よりもマルトール量が少なく、マルトールの揮発や酸化等による変化が生じたと推察された。マルトール添加豆腐と無添加豆腐の官能評価の結果、豆臭、甘味、こく味、不快味、おいしさにおいて有意差はなかったが、マルトール添加豆腐は無添加豆腐に比べ、豆臭、不快味が感じにくく、味がマイルドになる傾向が認められた。 2.豆腐製造条件の違いによるマルトール生成量と豆腐風味の検討。 試料豆腐は加熱絞り豆腐(4社12品目)の市販品を用いた。連続式加熱で製造された加熱絞り豆腐(木綿、絹)のグループBサポニンとマルトール量は製造会社間で大きな差がなかった。開放型のバッチ式加熱釜で製造された豆腐の比較では、グループBサポニン量に大きな差はなかったが、マルトール量は加熱時間の長い方が木綿、絹ともに少なかった。開放型のバッチ釜では、生呉の加熱時間が長いほど加熱中にマルトールが揮発し、豆腐中のマルトール量が少なくなると推察した。豆腐の官能評価では、マルトール量が多いほど不快味が弱く感じられる傾向が認められた。一方、豆腐の甘味やこく味にマルトールは寄与しないと推察された。 以上の結果より、豆腐のマルトール量は、1つの要因ではなく、加熱方式や加熱温度・時間、水さらしなどの製造条件及び流通中の溶出など様々な要因が影響することを明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的である「豆腐の風味に寄与する香気成分の生成機構の解明」の中で、豆腐の主要香気成分の一つであるマルトールの豆腐製造工程における生成機構とその豆腐風味への寄与について、明らかにすることができ、本研究は順調に進行している。
|
今後の研究の推進方策 |
平成24年度(最終年度)は、豆腐製造条件の違いによる各香気成分の生成量(組成及び量)と豆腐風味への寄与について検討を行ない、これまでの結果と併せて総合的に考察する。本年度の検討の中で官能評価の結果が重要となるため、評価項目の選別、評価パネルの選択とトレーニングなど、官能評価実施前の検討を十分に行なう。
|