研究課題/領域番号 |
22500740
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
宮岡 洋三 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (10134941)
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研究分担者 |
伊藤 直子 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (20158158)
蘆田 一郎 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 講師 (10323958)
山崎 貴子 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 講師 (60318574)
岩森 大 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 講師 (90339961)
川上 心也 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 助教 (60410271)
玉木 有子 新潟県立大学, 人間生活学部, 助教 (00410267)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 食品識別 / 咬筋 / 筋電図 / パタン解析 / 呈味成分 / 化学分析 / テクスチャ / 健常者 |
研究概要 |
種々のテクスチャや味をもつ食品を対象に、咀嚼時咬筋活動の示す各種変量が「味」情報を手掛かりとした食品識別に果たす役割を評価してきた。一方、報告者らが用いる筋活動パタンの解析方法-Tp手法-の確立にも努めている。初めに解析方法の確立についての研究成果を、次いで「味」の関与についての進捗状況を述べる。 1. 解析方法の確立:咀嚼時咬筋活動のTp値は、サイズとテクスチャが異なる食品の識別で有効に働いた(下記13. J Texture Studies)。既報の嚥下関連筋に加えて、咀嚼筋でもTp手法の有効性が確認できた(なお、咀嚼開始から5周期目までの筋活動を解析対象とした)。他方、咀嚼の開始から終了までの系列的Tp値変化についても調べ、同値から誘導したDp値が咀嚼パタンのより詳細な把握に有効とわかった(J Med Eng Tech)。さらに、Tp値やDp値以外の変量を解析し、それらの変量と硬さなどのテクスチャ特性値の定量的関係も解明した(Food Nutr Sci)。以上から、Tp手法など咀嚼筋活動の解析方法はほぼ確立されたと考えられる。 2. 「味」の関与:これまでの「グミ・キャンディ(GC)」に比べてより複雑な食品を加えた実験のデータ解析は未了のため、GCによる知見の概略を述べる(味と匂学会誌)。健康若年成人男女から咬筋の表面筋電図活動等を記録下に、4種の果実風味が添加されたGCをランダムな順序で咀嚼させ、咬筋活動の諸変量を統計解析した(Tp値には、クラスター解析も適用した)。GC中の糖質(ショ糖と麦芽糖)と有機酸は、T25値とT50値には影響しなかった。他方、糖質はT75値のクラスター形成に影響したが、有機酸とテクスチャは影響しなかった。これらの結果から、GC中の糖質が咀嚼運動に伴う各咬筋後期活動のパタン形成に対する寄与とその影響が糖質に基づく甘味に由来するとの示唆が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の交付申請書(「研究の目的」)には、「本年度は、呈味成分のみではなくサイズやテクスチャも異なる各種の被検食品に咀嚼対象の幅を広げる。これによって、日常生活で口にする多種多様な食品の咀嚼時に生じる咬筋活動パタンが調べられる」と書いた。上記の「9. 研究実績の概要」にもある通り、より幅広い特性をもつ食品を加えた実験は概ね終了できたため、評価の区分を「(2)」とした。但し、そのデータ解析は未了のため、最終年度に向けて作業を加速する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
本申請課題では、「風味の関与」を取り上げている。研究の大部分は、「味」を対象として進めてきた。しかし、食品の識別では「匂い」の影響が無視できないと考えられる。食品中の「匂い」成分の把握は容易でないものの、まずはその強度が咀嚼筋活動パタンに与える影響を調べたい。「匂い」の内容(質)を問わずに、強さのみを測定する装置は市販されている。被検食品が呈する「匂い」強度とTp値による咀嚼筋活動パタンとの関係について、そのような装置の使用によって予備的レベルでも何らかの知見を得たい。
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