研究課題
これまで種々の風味(およびテクスチャ)をもつ食品を対象に、咀嚼時咬筋活動の示す各種変量が「風味」情報を手掛かりとする食品識別に果たす役割を評価してきた。その一方で、報告者らが用いる筋活動パタンの解析方法-Tp手法-の確立にも努めてきた。その解析方法については、咀嚼時の咬筋活動パタンが拮抗筋の舌骨上筋群活動に及ぼす影響を調べ、手法の有用性をより確固にできた。この成果は、昨年度に刊行した咀嚼時の咬筋活動パタンが示す系列的変化に関する知見と合わせて、本科研費の研究課題で開発された解析方法の有効性を示す内容となろう。研究課題である風味の関与については、従来と同様の方法(対象は健康若年成人男女、咀嚼時の咬筋表面筋電図活動を記録、果実風味添加の数種グミをランダム順序で提示など)によって採取されたデータを解析した。グミの甘味成分量と酸味成分量を基に、咀嚼時の咬筋活動パタンの分類を試みた。この分類は、風味の関与をより明確に視覚化できると期待された。風味の違いは活動パタンのクラスタ分類を可能にし、かつ呈味成分量間に統計的な有意差も見られた。しかし、風味の種類を変えると類似のクラスタ分類はできても、呈味成分量間に差が見られなかった。これらの結果から、再現性の担保が課題として残ったと言える。他方、反応時間という異なる観点からも風味の影響を検証した。すなわち、食品風味の差違を検出するのに要する時間を計測し、影響評価の一指標とした。その簡便な手法を確立するとともに、風味の影響を呈味と香気の両面から検討した。簡易的な測定ではあったが、食品の香気強度は反応時間に影響するとの知見が得られた。今後は、反応時間に関わる新しい知見とこれまで得られた咀嚼時咬筋活動の示すパタンなど各種変量との関係を解析して、上述した再現性担保の課題を解明したい。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Behavioral and Brain Science
巻: 4 ページ: 69-74
10.4236/jbbs.2014.42009
巻: 4 ページ: 114-9
10.4236/jbbs.2014.43015
巻: 3 ページ: 432-9
10.4236/jbbs.2013.35045
巻: 3 ページ: 581-3
10.4236/jbbs.2013.38061
巻: 3 ページ: 379-84
10.4236/jbbs.2013.34038