研究課題/領域番号 |
22500742
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
宮崎 由子 京都女子大学, 家政学部, 教授 (40131560)
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キーワード | 食品 / 免疫学 / 機能性成分 / 痴呆 / 一次予防 |
研究概要 |
【目的】高齢者は加齢と共に、免疫力の低下や記憶学習能力の低下などに伴う認知症疾患が増加し、高齢者に対する予防対策が重要視されている。筆者はH22年度において、ヤナギタデがヒト好中球・単球に対する貪食活性と食胞融合能により殺菌能を示し、スーパーオキサイドアニオン(O_2^-)の産生量もわずかで、免疫賦活食材として活用できることが認めた。H23年度では、細胞内毒素LPSおよびニコチンの毒性に対する効果を検討すると共に、アセチルコリンエステラーゼ阻害活性についても検討した。【方法】ヒト好中球にニコチンまたはLPSを反応させ、各濃度のヤナギタデ(鮎タデ・紅タデ:Polygonum hydropiper;市販品)熱水抽出物を加えて、ニコチンおよびLPSに対するヤナギタデの効果を調べた。対照としてAChE阻害薬(ガランタミン)を用いて比較検討した。さらに、AChE酵素実験では基質としてヨウ化アセチルコリンを用いてAChE活性を測定し、ヤナギタデのAChE阻害作用を検討した。【結果】ヒト好中球に対する貪食作用:鮎タデ・紅タデとも顕著に貪食促進作用を示した。LPS・ニコチン・ガランタミンでは、ヒト好中球の貪食作用を減少させ、細胞障害性を示す傾向を認めた。しかし、ヒト好中球にヤナギタデ熱水抽出液を各々10分前に反応させて、ニコチンおよびガランタミンの貪食活性を調べた結果、ニコチンおよびガランタミンの毒性を完全に除去し貪食作用を促進させた。LPSにおいても同様の結果であった。AChEへの効果:AChEに対する阻害性を検討した結果、鮎タデ・紅タデは酵素阻害性を見出した。タデ科食材ヤナギタデには、免疫賦活物質およびAChE阻害物質が存在し、認知症の改善・予防に活用できる道を開いた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
免疫賦活食材として認めた活性成分の構造解析は、成分を単離生成するのに時間が掛かったために、まだ成分の構造を明確にできていない。
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今後の研究の推進方策 |
1)ヤナギタデ(鮎タデ・紅タデ)の免疫賦活性について、英語論文投稿を行う。 2)タデ食メニュの提案:タデ食(タデ6g)のメニュを考案し、介入試験を試みる。食事の前後にストループテスト(脳の活性化を評価)・内田クレペリンテストおよび血圧脈派検査測定を行って効果(作業量の効果を評価)を調べる。最初は、健常者を対象に、5日間連続してタデ食(タデ6g)を摂取する介入試験を試みるとともに、タデを全く含まない対照食を用いて、単盲検比較試験を実施する。 3)高齢者への介入試験:同意を得た高齢者への介入試験を試みる。高齢者にタデ食による食事を提供して、認知症機能測定ツールソフト(Cog Health)と長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)を用いて効果度を評価する。また、対照食を摂取する高齢者においても同様の介入を実施し、タデ食介入群と対照食介入群を比較検討する。
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