食品機能性因子として茶抽出物を食品素材として加工食品に利用するケースが増えてきたため、昨年度はカテキン類を用い糖質化合物スクロース、グルコース、およびフルクトースによる加熱処理がもたらす機能性減少抑制効果を検討した。加熱方法は湿式加熱のみであったが、本年度は電子レンジ加熱による検討を行った。また糖質化合物として多糖類である澱粉や寒天との組み合わせゲルを作製し、えん下困難者食品への応用についても検討を行った。 その結果、湿式加熱同様、内部加熱法の1つである電子レンジ加熱によるエピガロカテキンガレート(EGCg)の抗酸化能減少を各種糖質化合物が抑制することを見出した。しかし茶カテキン類の主要化合物であるEGCg残存量を検討したが、減少抑制効果は見られなかった。ただ抗酸化能と残存EGCg量との間で相関が見られたので、電子レンジ加熱において糖質化合物が共存した調理あるいは加工手段は、カテキン類の機能性維持をもたらすことが示唆された。 一方、澱粉や寒天など多糖類による影響も検討した。澱粉は水溶性澱粉を用い、最終的に5.0%(w/v)となるようゾルを調製し、残存EGCg量を測定した。その結果、湿式加熱でのEGCg量減少抑制効果は見出せなかったが、電子レンジ加熱では90秒加熱において優位に減少抑制効果が見られた。またえん下困難者食品の創製を念頭におき、寒天、スクロース、EGCgの各種濃度の組合せによるゲルを作製し、加熱によるEGCg量およびラジカル捕捉活性を測定した。その結果、寒天0.5%、EGCg0.1%においてスクロースによるラジカル捕捉活性減少抑制効果が見られた。
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