研究課題
市販のヤマクラゲ(乾燥ステムレタス)は水戻し後、煮熟しても歯切れが良い。この原因を調べる目的で本研究を行った。自家栽培したステムレタス(茎チシャ)を縦半分に切断し、半分を生試料、残りの半分を室温で自然乾燥し乾燥試料とした。各試料は3等分し、上部、中部、下部とした。乾燥試料は市販品(ヤマクラゲ)と比較した。生の試料と乾燥試料の煮熟前後の硬さを測定し、組織構造の変化をクライオ走査電子顕微鏡で観察した。また、生および乾燥試料を水戻ししたもの、さらにそれらを煮熟した試料よりアルコール不溶物(AIS)を作成し、ペクチン質を水、0.01N塩酸、0.1M酢酸塩緩衝液、2 %ヘキサメタリン酸ナトリウム、0.05N塩酸溶液でエステル化度別に分別抽出し、WSP、PA、PB、PC、PDとし、ガラクツロン酸の定量を行った。生ステムレタスは下部にいくほど硬かった。煮熟すると軟化したが、下部ほど軟化度が小さかった。生を乾燥させて水戻ししたり、それを煮熟すると、生より乾燥させたものの方が煮熟前後どちらも硬い結果となった。組織観察では、上部<中部<下部に行くほど表皮の細長い細胞が多くなり、維管束が発達していた。生を煮熟すると、外側の柔組織および維管束の細胞壁は大きな開裂がみられなかったが、中間部、中心部の柔組織は細胞一次壁にゆるみが生じ、中層が開裂していた。上部>中部>下部の順に大きく開裂していた。ペクチンを分別抽出すると、生の上部、中部では高エステル化度のPAの割合が高く、下部では低エステル化度のPCの割合が高かった。煮熟すると煮汁中へのペクチンの溶出は上部>中部>下部の順に多く、WSPも増加した。乾燥すると、全て低エステル化度のPBの割合が著しく増加した。ペクチンメチルエステラーゼによるものと思われる。このため煮熟してもβ-脱離による分解が起こりにくく軟化しにくいと示唆された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Food Science and Engineering
巻: 3 ページ: 668-667
日本調理科学会誌
巻: 46 ページ: 65-74
巻: 3 ページ: 1-8