研究課題/領域番号 |
22500748
|
研究機関 | 華頂短期大学 |
研究代表者 |
豊原 容子 華頂短期大学, 人間健康福祉学科, 准教授 (50241211)
|
キーワード | 海藻 / 伝統食 / 機能性成分 / 調理 |
研究概要 |
全国の漁村における伝統的な海藻食の調査を行ない、その健康への寄与について検証するとともに、それらの海藻の利用促進を進めることを目的として研究を進めてきた。 昨年の北海道、和歌山(田辺・白浜地区)、島根(西部地区)、沖縄(那覇・泊、糸満地域)に続き、本年は、東北および九州地区について調査を主に行なってきた。東北地区においては、青森県八戸鮫地区に伝わる「あかはたもち」の聞き取り調査をすることができた。 「あかはたもち」は、昨年北海道地区での聞き取り調査により利用促進を図ることができる海藻として、調理例などの研究を進めてきたアカバギンナンソウ(スギノリ科の紅藻Mazzaella japonicua(Mikami)Hommersand)を材料として、非常に珍しい「蒸す操作」を行う料理である。カラギーナンを多く含むことから独特なテクスチャーをもつ伝統食である。また、九州地域ではカジメ(コンブ目カジメ科の褐藻Ecklonia cava)の味噌漬けなどについて調査を行なうことができた。これらの海藻の採取時期が1月から3月ごろと限られていることや、生の海藻を調理する例であることから、全国的に利用されることがなかったと考えられる。また生育環境や採取時期によりテクスチャーなどの違いが大きいことから成分との関連性について検討を始めた。これらの伝統食を現代食へ応用するために、現代の海藻食の分析を行うと共に、これらの海藻の調理レシピについて検討した。 一方、機能性成分として褐藻中のクロロフィルCに抗炎症作用が認められることが明らかとなったことから、調理によるクロロフィルCの消長などについて検討を始めた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東日本大震災による福島原発事故の影響により、海産物の放射能汚染への懸念が高まっていること、また、気候温暖化による影響と考えられる海藻の生育不良のため、調査対象とした地域の調査が十分に行うことができなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、海藻の機能性成分として、抗炎症作用をもつことが明らかとなったクロロフィルCの所在や調理変動などについて詳細に検討していく。さらに、狭い地域で行われている海藻の伝統食についても引き続き調査を行ない、現代食への応用を試みる。 放射能汚染に対する懸念が高まっており、随時使用する海藻については安全性の確認も行なっていく。
|