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2011 年度 実績報告書

蛋白質・アレルゲンを混入させずアミノ酸・単糖類を穀物から効率的に回収する加工法

研究課題

研究課題/領域番号 22500752
研究機関独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構

研究代表者

矢野 裕之  独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所・食品素材科学研究領域, 上席研究員 (20355580)

キーワードアレルゲン / 糊化 / 蛋白質 / 糖化液
研究概要

食品アレルギーは重篤な症状を引き起こすことがあるが、効果的な治療法はほとんどなく、アレルギー患者はアレルゲンを除去する食事を余儀なくされているのが現状である。そこで、信頼できる原理に基づいたアレルゲンのコンタミを最小化した食品の開発が求められている。本研究は米をはじめとする穀物から蛋白質・アレルゲンのコンタミなく、高濃度の糖類やアミノ酸を回収するための基盤技術を開発することを目的とする。
今年度は米デンプンの糊化と、その後のアミラーゼおよびプロテアーゼ処理が蛋白質の挙動に与える効果を解析した。これまでの研究により、米粉に加水・加熱して糊化させた後、アミラーゼ処理で液化した糖化液を遠心すると、上清には蛋白質がほとんど含まれないことが明らかになっていた。今年度は、糖化液をさらにプロテアーゼ処理し、遠心後の上清にやはり蛋白質がほとんど含まれないことを電気泳動法により確認した。既報の知見と併せ、デンプン糊化の際に蛋白質がデンプン粒外膜と相互作用すること、また、これがプロテアーゼの作用を受けても維持され、遠心した際には不溶成分として除去できることが推察された。本研究により新しいメカニズムに基づいた米粉の加工処理法についての知見が得られ、これを低蛋白・低アレルゲシ飲料に応用できる可能性のある成果が得られた。さらに、上記蛋白質と澱粉の相互作用が澱粉粒の吸水性にも影響し、その結果、パンなどの加工品をつくる際の米粉生地の物性を変化させることを示唆する知見も得られた。
以上めように、米粉加工品の低蛋白・アレルゲン化や米粉生地の物性制御に関する新しい研究成果が得られたことから、米粉を原料とした新規食品の開発・実用化および米粉の需要拡大への貢献が期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

蛋白質・アレルゲンを混入させずアミノ酸・単糖類を穀物から効率的に回収する加工法に関しては当初の計画どおりの知見が得られ、併せて、米粉生地の物性制御に関する知見も得られたことから。

今後の研究の推進方策

昨年度までの研究により、プロテアーゼ処理した糖化液を遠心すると上清には蛋白質がほとんど含まれないことを明らかにしたが、今後は、この上清について栄養成分の向上と蛋白質・アレルゲン成分の低減化についてメカニズムを解明しながらさらに加工法の開発を行い、低蛋白質・アレルゲン食品原料としての妥当性を評価する。本研究課題の最終目標である「蛋白質・アレルゲンを混入させずアミノ酸・単糖類を穀物から効率的に回収する加工法」
の基盤技術の開発を完了し、今後の実用化研究のための重要な知見に資する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] 澱粉の糊化と酵素処理が米蛋白質の溶解性に与える影響2012

    • 著者名/発表者名
      矢野裕之、竹内正彦、加藤(江森)澄恵、我妻義則、田口計哉、岡澤由晃、西澤賢一、黒田秧
    • 雑誌名

      食品総合研究所研究報告

      巻: Vol.76 ページ: 1-7

    • URL

      http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/files/76_hokoku_p01-07.pdf

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Comparison of oxidized and reduced glutathione in the bread-making qualities of rice batter2012

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki Yano
    • 雑誌名

      Journal of Food Science

      巻: 77巻 ページ: C182-188

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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