研究課題/領域番号 |
22500754
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
矢野 友啓 東洋大学, 生命科学部, 教授 (50239828)
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研究分担者 |
矢野 善久 京都学園大学, バイオ環境学部, 准教授 (20230287)
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キーワード | BBI / 大豆由来成分 / 生体利用性 / ELISA法 |
研究概要 |
昨年度構築したBBI定量用ELISAシステムを使って、予備的にBBIを過剰経口投与したラットから採取した血液サンプルを用いて、血中BBIを定量したところ、検出限界以下であった。しかし、同じサンプルを用いてウェスタン法でバンドを確認したところ、BBIと推測されるバンドが確認できた。さらに、血清が共存することにより、BBI定量用ELISAシステムの感度が血清非存在下で50倍程度低下することが確認されたので、血清存在下での感度を上げるための試みを行った。前処理として、加熱と表面活性剤であるNP40処理をするとことにより、未処理群に比べて感度が約20倍程度回復することが明らかとなり、血中のBBIを測定するのが可能になる測定感度が得られた。また、ELISA法によるBBI定量が正確な値を示しているか確認するために、キモトリプシン阻害活性を指標にしたBBI含量とELISA法によるBBI含量について、市販されている大豆15種類について測定した。その結果、キモトリプシン阻害活性を指標にしたBBI含有率平均値は1%~2%の範囲で、ELISA法で測定したBBI含有率もほぼ同程度の値を示したことかち、構築したBBI定量用ELISAシステムで生物試料中に含まれるBBI含量を正確に測定できることが確認された。さらに、各種の加工大豆食品中のBBI含量を測定することにより、BBI供給源として最適な加工食品形態を検討したところ、無調整豆乳に多くのBBIが含まれており、この形態が最適であることが確認された。最後に、BBIの癌細胞内への取り込みの有無を検証するために、中皮腫細胞にBBIを一定時間暴露した後、免疫染色により細胞内への取り込みを確認したところ、細胞内へのBBIの取り込みが推測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度構築したELISA法で、今年度血清中のBBIの経時的変化を測定し、BBIの生体内動態を解析する予定であったが、血清存在下でのBBIの検出感度が血清非存在下の50倍程度低下することが判明し、血清条件下での検出感度を上げる条件決定に時間がかかり、今年度実施予定の生体内動態の解析の開始が当初の予定より遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
上記のように、BBI測定用ELISA法の検出感度の問題から、BBIの生体内動態解析に遅れが出ており、BBIの生体内動態の結果から動物実験を行う際の、BBIの摂取濃度を決める予定であったが、時間の関係から、現在までの文献から類推される最適な濃度を選択し、動物実験を行う。最終的に、その動物実験の際のBBIの摂取濃度とBBIの抗腫瘍効果や血清中の有効BBIレベルの関係を明らかにする。
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