昨年度に引き続き、構築したBBI定量用ELISAシステムの検出感度を上げるための試みを行った。具体的には、前年度構築したELISA法の感度を下げる物質を変性除去するために有効な加熱法の最適化と表面活性剤の種類とその濃度の決定、ELISA法に関係する諸条件(ブロッキング剤の種類、濃度、キャプチャー抗体の濃度、ELISAプレートの種類等)を検討した。その結果、検出感度が2倍ほど上昇し、類似の市販のペプチドのELISA法の感度と遜色ない感度が得られた。この新たに構築したELISA法を用いて、経口摂取した場合の血清中のBBIが測定できるか検討したところ、24時間絶食したラットにBBI(400mg/kg)を強制経口投与して、門脈カニュレーションにより、投与後24時間まで経時的にBBIレベルを測定したところ、投与数時間までBBIが検出でき、構築したELISA法でBBIの体内動態の解析が可能であることが確認された。また、以前BBIの抗腫瘍活性に使用したマウス腫瘍移植モデルを使って、BBIの抗腫瘍作用とBBIの腫瘍組織への取り込みを検証したところ、BBIの摂取量依存的に腫瘍の増殖が抑制され、いくつかの腫瘍増殖に必要な指標(VEGF等)が抑制され、BBIの抗腫瘍効果が確認された。また、腫瘍組織へのBBIの取り込みをBBI抗体を使った免疫染色で検討したところ、一部の組織でBBIと推定される染色像が認められた。今後、腫瘍組織のBBI含量を定量し、その含量とBBIの摂取量の関連を確認する。
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