研究概要 |
【目的】地殻中に二番目に多いケイ素(Si)がCa、Mg、Pと共に骨代謝等への関与が指摘される。飲料水中Si濃度の地理的変動があることから地域住民のSi摂取量を調査し、健康との関連を保管する試料を用いて検証する。とくに小児での負担のかからない毛髪や爪による観察(非侵襲的)法について検討した。なお、Siは最も身近な元素であり、可溶性成分は簡便な水抽出法等の前処理やろ過処理だけで測定が可能であることから科学の近代化を体験可能な高学年の教材化を検討している。【結果】1.食事検体中Si測定条件の検討:塩素測定用の検体(水溶媒抽出検体:粉砕した食事10gを等量の精製水で希釈し、10分間振撮処理済み)をプラスチック遠心試験官に2~5mlを分取し、5%トリメチルアンモニュウム溶液(TMA)で希釈し、超音波ホモジナイーザで更に微細化する。これを振撮恒温槽で加熱浸透し、溶解・抽出したSiをICP-AES法で測定する最適な処理条件を検討し、検量線法による定量が可能となった。2.尿中Si測定:保存しているアジア地域住民の尿資料中Si測定の検討を行い、プラスチック遠心試験官に1.0mlを分取し、5%TMA1.0mlを添加し、溶解後に0.5%HC1/1.5%HNO_3溶液を8.0ml加え、測定する。本前処理でSi,Al,B,Cu,Fe,Znの同時測定が出来た。中国北京園児30名、宮城園児20名のスポット尿中のSi濃度(M±Sd、ppm)は各、7.0±4.7と9.1±4.7であった。3.爪中微量元素:食事調査時に採取した中韓園児50名の爪中の微量元素およびSiの測定を行った。Cd,Pb,As,Hg等26微量元素をTMAで溶解処理し、ICP-Ms装置で同時測定を行った。SiおよびSrの測定は微量元素測定後に残った溶解液を等量の精製水で希釈し、発光分光分析法(ICP-AES:iCAP6500、ThermoScientific)を用い、簡便標準添加検量線法により定量が可能となった。
|