これまでアトピー性皮膚炎自然発症モデル動物であるNC/Nga(NC)マウスを用いゲニステインには皮膚炎を軽減する作用を有していることを明らかにしてきた。そのためダイゼインやエクオールでも同様の作用を発揮するか検討を行った。NCマウスをコンベンショナル環境下で飼育し、それらマウスに2~20mg/kg/dayのイソフラボンの経口投与を行った。週に1回、3分間における掻痒回数、出血、びらんの形成についてスコアリングし皮膚症状の観察を行った(実験開始より12週目まで)。実験終了後、脾細胞よりリンパ球を分離しin vitroで抗TCR抗体および抗CD28抗体により刺激し産生されるサイトカイン産生パターンを解析すると共に2週間毎に採血した血中IgEレベルについてELISA法を用いて測定を行った。ダイゼインおよびゲニステイン投与は、NCマウスの皮膚症状を軽減したが、その効果はゲニステインの方が高かろた。また、血中IgEレベルを測定した結果、イソフラボン投与群で低下が認められた。一方、T細胞からのIFN胃およびIL-4産生に関しては影響が認められなかった。炎症に係わる、別の実験としてDSS投与による実験的大腸炎に対するイソフラボンの影響についても検討を行った。体重1kg当だりゲニステインがダイゼインおよびエクオールを20mg経口的に投与を行い、大腸炎の増悪の指標となる体重の測定を経時的に行った。体重減少は、エクオール投与群で最も著しいことから、構造が類似するイソフラボンでも個々の生理作用は異なることが明らかとなった。
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