研究課題/領域番号 |
22500766
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
岡本 秀己 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (10159329)
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キーワード | 発達障害児 / 食育プログラム / 食育教室実施 / 指導媒体の工夫 / 自己肯定感 |
研究概要 |
1.目的と意義発達障害には、対人関係を築くのが苦手な自閉症、アスペルガー症候群、読み書きや計算が苦手な学習障害(LD)、衝動的に行動しがちな注意欠陥・多動性障害(ADHD)などがある。発達障害児童に対する食育は「生きる力を育む」特別支援教育として有効ではないかと考え、児童らの特性に配慮した食育プログラムを考案し、実施を行ない、その効果を検討した。 2.方法 (1)対象:彦根市に在住する特別支援学級に通う発達障害児9名(小1~小6)(教育委員会を通して各小学校に案内を出し、研究に同意した保護者)。 (2)実施日:6月下旬~10月中旬の6回。 (3)食育教室の内容:「好き嫌いをなくそう」「朝ごはんを食べよう」「収穫体験をしよう」「おやつについて考えよう」「感謝の心を伝えよう」「バランス良く食べよう」。 (4)評価:アンケート調査:毎回終了後に保護者アンケート(食育の内容・進め方)、児童の様子等。 食育教室終了1か月後の調査:料理への関心度、行動・コミュニケーション、集中力などの変化ビデオによる行動チェック:調理過程毎の児童の様子をシートにチェック、同時にビデオ記録。 3.結果と考察食育教室を進める中で栄養教諭、保護者の意見を取り入れ、食育・調理の媒体はより視覚的・時間の短縮、失敗例などを事前に示す、役割分担等を改良し、児童が作業の進行や自分の役割、調理の手順等が常に確認できる完成度の高い食育プログラムとなった。教室終了1か月後の児童の変化は料理を作る、料理の話をする、嫌いな食べ物が食べられるようになった、また、協調性、ほめられた体験による自信、料理を作った達成感、役割を果たす(責任)、積極性、集中できるようになったな等、特に苦手な項目で改善が認められ、「作る」という行動→「食べる」というごほうびは発達障害児にとって良い学び方であり、やる気やモチベーションとなる効果的な特別支援教育であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
食育プログラムを実施することに、保護者や栄養教諭、特に保護者が積極的に研究の意図を理解してくれて、数々の媒体や指導法についてのアドバイスをくれたため、子供たちにも分かりやすくて、興味の持てる食育プログラムができ、料理や収穫、感謝の気持ちなどの食育意外に、保護者のアンケートから、自己肯定感をもてたことが予想以外の成果であった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は更に前年度の初期の食育プログラムを改良し、再度対象児童を変えて実施する。 また、評価については、これまでの行動チェック、保護者のアンケートに加え、心理テスト(児童用)を用いて、集中度、責任感、他者とのコミュニケーションなどの社会性を評価する。 そして、その後は市内の小学校にデジタル媒体として配布し、利用してもらい更なる改良を加えたいと考えている。
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