研究課題/領域番号 |
22500768
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
川上 貴代 (笹川 貴代) 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (10254567)
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研究分担者 |
湯浅 明子 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 准教授 (90295709)
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キーワード | 慢性肝疾患 / オメガ3脂肪酸 / オメガ3脂肪酸 |
研究概要 |
慢性肝疾患で肝硬変・癌合併予防のターゲットは炎症沈静化と線維化抑制であり、特に増加傾向のNASH(nonalcoholic steato hepatitis)は生活習慣病や酸化ストレス関連疾患として注目される。EPA代謝産物や各種生理活性脂質が肝線維化に関わるコラーゲン合成・分解の分子機構を検討するため、HSC(肝星細胞)での各種星細胞刺激因子投与時におけるこれらの影響について観察を行った。これまでの研究においてHSC細胞でのプロスタグランジン添加時において細胞遊走性が抑制されていることを見出した。一方EPA等由来の脂質メディエーターの影響については未だ明らかな結果は得られておらず、炎症収束に働く新規n-3系生理活性脂質の肝線維化での機構は未解明である。また動物レベルにおいては肝炎症にかかるEPA投与の影響を観察した。その結果、EPAおよび亜鉛の併用投与の効果をNASHモデルラットでの肝炎および肝線維化へのこれらの影響を観察したところ、線維化に対しては影響ないものの軽度の炎症改善がみられ、肝炎症に何らかの効果があるものと考えられた。今後はこれら脂肪酸由来の脂質メディエータに関して炎症収束にかかわる可能性が示されたことから、肝マクロファージ等免疫担当細胞におけるレゾルビン等の影響を検討するための実験系の確立を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
慢性肝疾患での抗酸化・栄養療法の確立を目指して、モデル動物、線維化の中心的役割を担うHSC細胞、臨床研究でのEPA等脂質栄養因子の影響の検証を行っているが、このうち臨床研究において連携協力者の所属移動のため研究実施に変更が生じたためである。
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今後の研究の推進方策 |
臨床研究の実施施設変更が生じたため、その推進に向けては連携機関を変更して非アルコール性脂肪性肝疾患を対象とした脂質栄養状態ならびに栄養素等摂取状態の影響について調査している。一方細胞および動物レベルでのn-3系脂質メディエータの影響については肝星細胞を用いて検討したものの、いまだ明らかな効果は観察されていない。しかしNASHモデル動物において肝炎症に対するn-3系脂肪酸の影響が認められたことから、他の細胞種を用いてその詳細な機構を検討することとした。
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