本研究の目的は、児童と高齢者の世代間交流による相互教育力を活かした食教育プログラム(以下、本プログラム)を開発し、その有効性を検証することである。また、食教育プログラムの計画・実施・評価を通して、多職種連携による「食」を核とした地域ネットワークを構築することである。 本年度は最終年度として、前年度までに試行してきたプログラムの完成版を実施し、プログラムの評価し行った。なお、研究のデザインは介入群のみの前後比較法とした。 その結果、①お弁当プレゼント(児童が高齢者の嗜好などを聞き、それらの情報をもとに食事(弁当)を作りプレゼントし、一緒に食べる)、②昔のおやつ物語探検(児童がお年寄りの昔のおやつをインタビューし、実際にお年寄りに教わりながら作り、一緒に食べる。)、③共食会(児童と高齢者が一緒に食べる集まり)を組み合わせたプログラムを開発できた。プログラムの評価は、質問紙調査(児童・高齢者)、インタビュー調査(高齢者)、参加者の発話記録をもとに、児童・高齢者の相互教育力の要因を検討した結果、児童では高齢者との共食の楽しさや高齢者への供食の効力感が高まる等、高齢者では児童との共食の楽しさや児童観の広がりが確認できた。 また、これらの成果を基に、研究協力者及び行政の関係者との研究会を実施し、開発したプログラムの活用・展開について検討した。さらに研究会の検討結果を基に、地域で食による世代間交流を推進するために、行政やボランティア等の世代間交流を主催する関係者向けのワークブック「『食』でつなぐ世代間交流ワークブック」を製作した。今後、このワークブックを用いた研修会などを実施するとともに、関係学会での報告を行い、研究成果を実践活動の推進に活かしていく。
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