研究課題/領域番号 |
22500773
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
永田 智 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70266055)
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研究分担者 |
清水 俊明 順天堂大学, 医学部, 教授 (30260889)
大塚 宜一 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90338335)
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キーワード | 小児肥満 / プロバイオティクス / Lactobacillus / 腸内細菌叢 / 16S ribosomal RNA / エネルギー・コントロール食 / 高脂血症 / 耐糖能異常 |
研究概要 |
○平成23年度の成果の具体的内容 研究代表者の所属施設の小児科外来において、肥満度20%以上の小児10例と肥満のない同年齢の健常児20名の初診時の腸内細菌叢および便中有機酸を、それぞれ16SリボゾーマルRNAをターゲットとした定量的RT-PCRとHPLC分析により解析を行ったところ、肥満群の便ではLactobacillus caseiの有意な減少が認められた。対象肥満児におけるエネルギー・コントロール食による3か月の食事治療下の腸内細菌叢・便中有機酸については現在検索中である。また、Lactobacillus caseiシロタ株含有飲料の飲用が、腸内細菌叢をLactobacillus casei優位にできるか否かを検索するために、正常対照児に同飲料を飲用させた1か月目の腸内細菌叢・便中有機酸についても解析中である。 対象肥満児および正常対照児の体重・身長・腹囲・血圧測定、便回数・性状の確認、血液検査(血清コレステロール、中性脂肪、尿酸、血糖、HbA1cの各測定)、検尿(尿糖、尿酸値)などを経時的に記録し、腸内細菌叢および便中有機酸の解析結果と比較検討中である。 ○意義 Lactobacillus caseiシロタ株には、動物実験において、耐糖能の是正や高脂血症の改善効果が報告されていることから、肥満児の腸内細菌叢において同菌が不足していることは、肥満の合併症である耐糖能異常や高脂血症の増悪に関連している可能性がある。同菌を外来的に補給することにより、肥満そのものの解消や合併症予防に役立つことが証明できれば、生活習慣病の発症に歯止めをかけることができ、有意義と思われる。 ○重要性 肥満成人の腸内細菌では、Firmicutesの割合が低下し、Bacteroidetesの増加が見られたとの報告があるが、小児においては、Lactobacillusの割合が低下していることが証明されたことについては学問的な重要性があろうと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象となる肥満児と正常対照である健常児のリクルートが意外にスムーズに進み、便検体の解析結果が予定通りに得られた。今後は、食事療法を行っている児の脱落がないように努める必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策:対象肥満児をあと30名登録して、計40名とし、エネルギー・コントロール食による食事治療下の3か月毎の腸内細菌叢・便中有機酸について検索を進める。そのうち20名にLactobacillus caseiシロタ株含有飲料併用群の腸内細菌叢・便中有機酸について比較検討を進める。 研究計画の変更:実験消耗品の予算が予定額をオーバーしつつあるため、「食事療法による治療前、治療後1ヶ月毎に12ヶ月まで、便検体を採取して検討する」という当初の計画を、「...治療後3ヶ月毎に12ヶ月まで...」に変更する。
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