本年度は昨年度に行った無菌マウスH.pylori感染モデルを用いた検討を引き続き行った。自由飲水法により、ザクロ、クランベリー等の投与を行ったが、高濃度となるにつれ飲水量が低下する傾向もあったためか、結果が安定せず、自由飲水法による投与は断念するに至った。このため、ゾンデ法による強制投与法による検討を行った。しかしながら、ザクロ、クランベリー各々単独の投与では、明らかな菌量の低下傾向を見いだすことが出来なかった。このため、抗H.pylori作用をもつと報告されている乳酸菌株とともに投与することで、相加的もしくは相乗的効果が得られるか否かを検討することとした。1回目の実験においては、乳酸菌株投与により、菌量は減少する傾向を示したが、H.pylori抗体価には影響は認められなかった。一方、ザクロ果汁のゾンデ法による投与では菌量には変化は認められなかったが、抗ピロリ抗体価が上昇する傾向が認められた。乳酸菌株、ザクロ果汁の双方を投与した場合は、乳酸菌株単独投与に比べ、抗ピロリ抗体価が高く、菌量がやや減少する傾向を示した。現在、本実験を繰り返し施行中であるが、実験結果はやや不安定であり、4-5回程度の繰り返しを必要とする見込みである。また、雄性マウスにくらべ雌性マウスにおいてザクロ果汁の効果がより明らかとなる傾向があり、性差が関与する可能性も示唆された。本年度は残念ながらヒト臨床試験まで至らなかったが、今後、動物実験にて明らかな結果を得た上で、臨床試験へとつなげたいと考えている。
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