研究概要 |
本研究は,各種多価不飽和脂肪酸を調節した人工乳を用いて△6不飽和化酵素欠損マウスを人工飼育した後に脳機能を評価し,脳内脂肪酸組成との相関性を検証し,脳機能における真に必須の脂肪酸を明確に証明するものである. 平成22年度では,以下に示す事由により,予定していた項目を完全に達成できていない. (1)Δ6不飽和化酵素欠損マウスの輸入が遅延したこと. (2)Δ6不飽和化酵素欠損マウス交配後の妊娠出産時の母獣死亡により繁殖が停滞したこと. (3)外国人招へい研究者として日本学術振興会から採択された本研究の協力者(Nahed M Hussein (エジプト国立アインシャムス大学))の来日後に発生した母国の騒乱,東北大地震とそれに伴う余震,原子力発電所の事故等により,滞在期間を短縮して帰国したこと. 本年度,得られた成果としては,以下の4項目である. (1)交配により実験可能なΔ6不飽和化酵素欠損マウスが確保出来るまでの状態になった. (2)基礎運動能力(自発運動量),記憶学習能(水迷路試験),うつ・不安(新奇環境による摂食抑制試験もしくは高架式十字迷路試験),運動協調性試験(ロータロッド)等の一連の行動試験測定条件を確立した. (3)人工乳を作製方法の確立した. (4)本研究に用いる対照動物であるC57BL/6Jマウスの人工飼育を完成させた. 次年度は,これらの予備検討を基にΔ6不飽和化酵素欠損マウスの授乳・成長期の多価不飽和脂肪酸,特に,リノール酸,α-リノレン酸,アラキドン酸,ドコサヘキサエン酸の役割について検証できるものと考えている.
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