【目的】糖尿病予防・食後高血糖予防の観点より、米飯摂取時、同時に摂取した乳製品の血糖上昇抑制作用を、食品の種類・量について検討した。 【方法】被験者は女子学生10名(22±1歳)であった。基準食として米飯(サトウ食品147g、糖質50g)を用いた。検査食は米飯+普通牛乳(100ml、 200ml、 400ml)、低脂肪牛乳・無脂肪牛乳(各200ml)、チーズ36gを食し、検査食では糖質が50gになるように米飯量を調節した。血糖値測定は自己血糖測定器グルテストエース(三和科学研究所)を用い、被験者自身が負荷前、負荷後15、30、45、60、90、120分後の計7回測定した。基準食ならびに検査食の血糖上昇下面積(AUC)を算出した。各時点での基準食と検査食の血糖値の比較、血糖上昇下面積の比較はpaired t-testを行ない、p<0.05を有意差ありとした。 【結果】1.血糖上昇のピーク:基準食の血糖値のピークは60分であるのに対して、検査食のピーク値は30分となり、ピークが前方へ移行した。2.牛乳の量:普通牛乳200・400mlの検査食では、基準食と比較して、AUCは有意に低下した。牛乳100mlの検査食と比較して400mlの検査食の方がAUCは有意に低下した。3.乳製品の脂肪含有量の比較:普通牛乳200ml、無脂肪乳200mlの検査食では、基準食と比較して、AUCは有意に低下した。たんぱく質、糖質が同量の普通牛乳・低脂肪乳・無脂肪乳の検査食のAUCは、3群間で差はなかった。 【結語】乳製品の血糖上昇抑制効果は、乳製品を一定量以上摂取する必要があり、乳製品の脂肪含有量は関係ないと推測された。乳製品を米飯と摂食すると食後血糖上昇ピークが前方向に移行し、インクレチン分泌が関与すると推察された。
|