研究課題/領域番号 |
22500778
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
末田 香里 愛知学院大学, 心身科学部, 教授 (60068278)
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キーワード | 食後高血糖 / 牛乳・乳製品 / インスリン / 脂肪 / タンパク質 |
研究概要 |
【目的】前年度、米飯と同時に摂取した牛乳の血糖上昇抑制作用を検討した、その結果1)牛乳100~400mlでは用量依存性はなかった、ある一定以上の牛乳量が必要である。2)普通牛乳・低脂肪乳・無脂肪乳の3食間で、血糖上昇曲線下面積(AUC)に差がなかった。このことより牛乳中のタンパク質が、脂質より、強力が血糖上昇抑制作用があると推察された。一方バター(20g)にも血糖上昇抑制効果があった。今年度は牛乳中のタンパク質・脂質の作用機序を検討する目的で、基準食と無脂肪乳とバターを摂食後のホルモン濃度を測定し、牛乳中のタンパク質・脂質の作用機序について検討した。【方法】被験者は女子学生10名(22±1歳)であった。基準食として米飯(サトウ食品147g、糖質50g)を用いた。検査食として1)米飯+無脂肪牛乳(200ml)と2)米飯+バター20gを食し、検査食では糖質が50gになるように米飯量を調節した。採血は負荷前、負荷後15、30、45、60、120分後の計6回行い、インスリン・グルカゴン濃度を測定した。血糖、ホルモンAUCの比較は一元配置分散分析(対応のある要因による反復測定:ANOVA)を行い、その後Scheffeの方法による多重比較をおこなった。【結果】1.食後血糖上昇曲線:基準食の血糖値のピークは60分であるのに対して、無脂肪食のピーク値は30分となり、ピークが前方へ移行した。またバター食の血糖は緩慢に上昇した。基準食、無脂肪乳食およびバター食AUCは3群間で差はなかった。2.食後インスリン濃度は、基準食と比較して、無脂肪乳食では、30分、45分で高くなった(P<0.05)。基準食AUC・バター食AUCと比較して、無脂肪乳食AUCは高値であった(P<0.05)。3)食後グルカゴン濃度は3食間で差はなかった。【結語】牛乳中のタンパク質は、インスリン分泌を介して、食後血糖上昇を抑制する効果があった。バターも食後血糖上昇を抑制した、この作用機序は糖の吸収を緩慢にすることによると推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)乳製品に関しては牛乳に焦点をあてた。糖質50g一定にして、(1)牛乳(100-400ml)の用量依存性効果、(2)牛乳中の脂質含有量の違いによる効果の検討(普通牛乳・低脂肪乳。無脂肪乳)、(3)作用機序を検討するため、基準食と無脂肪乳食・バター食の食後血糖ならびにインスリンを測定し、無脂肪乳食の摂取時にのみインスリンが上昇した。 2)大豆製品も糖質50gと一定にして、有機豆乳、納豆、木綿豆腐、黄粉、おから食を摂取後の食後血糖を測定した。その結果、大豆製品中に含まれて一定量の脂質・タンパク質、または不溶性食物繊維が含有されることが、血糖上昇抑制に作用すると推察した。
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今後の研究の推進方策 |
1)食後血糖上昇抑制効果は、乳製品と大豆製品を組み合わせたときに、相加効果あるいは相乗効果があるのか? 2)牛乳・大豆製品を摂取するタイミング:食事前30分に牛乳摂取したほうが、より食後血糖上昇抑制効果がある、との報告がある。牛乳を摂取するタイミングについて検討する。また大豆製品セカンドミール効果についても検討する。
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