研究課題/領域番号 |
22500779
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研究機関 | 名古屋女子大学 |
研究代表者 |
片山 直美 名古屋女子大学, 家政学部, 准教授 (90387663)
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研究分担者 |
中田 誠一 藤田保健衛生大学, 坂文種報徳會, 准教授 (10324435)
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キーワード | 味覚 / 嗅覚 / 官能試験 / 大型コホート / 住民健診 / アンケート調査 / 実態把握 / 認知並びに検知能力 |
研究概要 |
現在、24時間営業するコンビニエンスストアーやデパートの地下街のおかずや弁当の利用者が増加し、様々な食材を用いて季節感のある食事を自ら作る機会が少なくなっている。そのため味やにおいに対しての経験が不足し、検知能力は持続されても、認知能力の衰えが加齢とともに速い速度で進む事が懸念される。しかるに40歳以上の味覚と嗅覚の加齢変化について、味覚のみ、または嗅覚のみの研究は多く報告されているが、味覚と嗅覚を同一被験者に対して同時に行った実態調査はほとんど報告されていない。今回、われわれは、人の移動が少ない北海道・Y町において40歳以上90歳未満の初老ならびに高齢者における味覚と嗅覚における検知能力と認知能力の実態を家政学部における食物栄養学からの視点をいれて疫学的に明らかにするために本研究を行った。約400名に味覚検査キットならびに嗅覚検査キットを用いて味覚並びに嗅覚障害、問診表を用いて、胃食道逆流症の症状スコアや嚥下、睡眠障害についての問診所見をとった。300項目の生活習慣・既往歴アンケート、内科検診、血液生化学、泌尿器科検診、高次脳機能検診、耳鼻科検診が行なわれた。現在H23年度に得たデータを解析中であり、各種学会にH24年度も発表の予定である。さらにH24年度もY町において約400名に耳鼻科検診を行なう予定である。2年間に渡り実態調査を行った結果、約20%の住民に味覚、嗅覚、その両方に何らかの問題点があることが明らかとなった。3年目にあたるH24年度は、味覚・嗅覚の重要性を公開講座で解説し、改善へ向けた取り組みの第一歩を踏み出す手助けを行いたい。この結果をもとにさらに科学研究費の継続取得をおこない、この前向き大型コホート研究を継続して行い、「人はどの時点で、それぞれの問題点を回避ならびに改善すれば、健康で長生きすることができるのか」を明らかにしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
八雲町における初老並びに高齢者における味覚・嗅覚の検査結果が2年間連続で調査できたことで、初老並びに高齢者における味覚・嗅覚の実態が延べ人数で約800名分蓄積され、味覚と嗅覚に異常を示す住民が約20%もいることが把握され、またその成果によって、名古屋大学病院における永久気管孔造設患者における嗅覚の実態とのエイジマッチングがなされ、NAIM法による嗅覚訓練によって永久気管孔造設患者が回復すべき到達点が明らかになりつつある。
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今後の研究の推進方策 |
今後はH24年度の実態調査を行い、延べ人数で1000人を超えるデータの蓄積を行い、実態把握とともに他の研究者との研究データとの比較検討を詳細に行い論文にまとめたい。また、H25年度からは実態調査のみではなく、八雲町住民に対して積極的な介入を行い、食生活調査を行い、食生活の実態を把握して、味覚・嗅覚に及ぼす影響を実態把握したいと考えている。また、味覚・嗅覚に問題のある住民に対する味覚・嗅覚回復訓練を行いたい。そのためには、この研究はH24年度以降の継続が必要であり、生活の質向上ならびに前向きコホート研究の成果を広く利用していくためにも今後の本研究の継続が必要である。
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