研究課題/領域番号 |
22500781
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研究機関 | 愛知淑徳大学 |
研究代表者 |
榎 裕美 愛知淑徳大学, 健康医療科学部, 准教授 (90524497)
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研究分担者 |
葛谷 雅文 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10283441)
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キーワード | 要介護高齢者 / 介護負担 / 食事形態 / 低栄養 |
研究概要 |
要介護者の食事形態と主介護者の介護負担感との関連について、493名の要介護者(平均年齢81.8±8.0歳)と主介護者493名(平均年齢65.4±12.2歳)を対象とした。食事形態は、普通食、普通食以外の食事(以下、特別食)、経管栄養の3群に分割して、主介護者のJ-ZBI得点を比較した。J-ZBI得点を従属変数とする重回帰分析で有意な因子として抽出された要介護者の性とCPS得点を共変量とした共分散分析においては、J-ZBI得点(mean±SE)は、普通食32.1±0.8点、特別食30.1±1.9点、経管栄養18.0±1.9点であり、多重比較の結果、普通食vs経管栄養(p=0.001)、特別食vs経管栄養(p=0.013)、に有意な差が認められた。本研究では、経口摂取をしている要介護者の主介護者の介護負担は、胃瘻を造設など経管栄養を行っている要介護者の主介護者に比較し、著しく重いという結論を得た。 在宅の要介護高齢者の体重減少を引き起こす要因について、食事形態との関連を含め検討した。研究開始時の基本属性と現在および半年前の体重の情報が得られた603名(男性256名、女性357名(平均年齢80.8±7.8歳)を解析対象とした。半年間に体重減少の認められた体重減少群(n=85)と体重減少が無かった体重維持群(n=528)の2群の背景因子の比較を行った。2群の介護保険の居宅サービス利用状況の有無、性、年齢の比較では有意な差は認められなかったが、体重減少群にCOPDおよび5年以内に見つかった悪性腫瘍の罹患率が有意に高かった(p<0.05)。食事形態、咀嚼能力および義歯の有無とは関連が認められなかったが、嚥下機能に問題がある、食事摂取状況が悪いものは体重減少群に有意に多く認められ、さらに直近3か月に入院歴がある要介護者では有意に体重減少群に属する割合が高かった(p<0.01)。半年間の体重減少の有無を従属変数とした多変量ロジスティック・解析の結果では、共変量で調整した結果、嚥下機能および食事摂取状況、直近3か月の入院歴が有意な因子として抽出された(p<0.05)。今後、さらに食事形態と体重減少との関連を検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
横断的データの解析と縦断的データのデータ整理が終了しており、平成24年度は縦断的データの解析を中心に進めていく。具体的には、食事形態の低下と栄養状態およびADLの変化の縦断データを嚥下機能および食事摂取状況を視野に入れ、入院および生命予後の悪化についての要因を検討していく。また、食事形態の低下と介護者の介護負担感および抑うつとの関連についても、縦断データを解析し、関連を検討する。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度末で縦断研究データのすべてが整い、平成24年度は、そのデータ整理とデータ解析を中心に進めていく。具体的には、食事形態の低下と栄養状態およびADLの変化の縦断データを嚥下機能および食事摂取状況を視野に入れ、入院および生命予後の悪化についての要因を検討していく。また、食事形態の低下と介護者の介護負担感および抑うつとの関連についても、縦断データを解析し、関連を検討する。
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