1. ビタミンE同族体経口摂取後の血中への移行量の比較 リポタンパク質リパーゼ活性の阻害剤であるチロキサポールを用いて、ビタミンE同族体の経口摂取後の腸管から血中への吸収量を明らかにすることを目的とした。ビタミンE無添加飼料で飼育したラットの尾静脈にチロキサポールを投与し、続いてα-トコフェロール、γ-トコフェロール、またはトコトリエノールを経口投与した。6時間後の血中のビタミンE濃度をHPLC法によって測定したところ、α-トコフェロール、γ-トコフェロールに比べてトコトリエノール濃度は低かった。したがって、トコトリエノールはトコフェロールよりも吸収されにくいことが示唆された。 2. ビタミンE代謝産物の体内分布と代謝臓器の特定 ビタミンE代謝産物の体内分布と代謝臓器を明らかにすることを目的とした。ビタミンE無添加飼料で飼育したラットにα-トコフェロール、γ-トコフェロール、またはトコトリエノールを経口投与し、24時間後の主要臓器のビタミンE同族体およびその代謝産物の濃度をHPLC法により測定した。ビタミンE同族体はほとんどすべての臓器に存在したが、ビタミンE代謝産物は主に肝臓、小腸、腎臓、および血清に存在した。α-トコフェロールおよびα-トコトリエノールの代謝産物であるα-CEHCは、小腸と肝臓に多く蓄積していた。一方、γ-トコフェロールおよびγ-トコトリエノールの代謝産物であるγ-CEHCは、肝臓と腎臓に多く蓄積していた。さらに、γ-トコフェロール投与後の小腸のγ-CEHC濃度は、α-トコフェロールの同時投与によって有意に上昇したことから、α-トコフェロールはγ-トコフェロールの異化を促進することが示唆された。
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