研究課題/領域番号 |
22500783
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研究機関 | 鈴鹿医療科学大学 |
研究代表者 |
翠川 裕 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 准教授 (10209819)
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研究分担者 |
中村 哲 国立国際医療研究センター, マラリア・熱帯病研究部, 室長 (40207874)
翠川 薫 三重大学, 医学部, リサーチアソシエート (20393366)
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キーワード | 柑橘成分 / サルモネラ / 硫化水素 / アスコルビン酸 / クエン酸 / クエン酸鉄 / ラオス / カンボジア |
研究概要 |
この研究の目的は、柑橘抽出成分を用いてサルモネラを検出する方法を開発および日本および世界中に普及することである。本研究に取り組む中で、柑橘等がサルモネラに及ぼす影響とメカニズムの解明を試みた。特に強調したいのは、サルモネラなどの細菌が硫化水素を産生することが、細菌の活性度を反映していると示唆される新たな知見を得たことである。 以下に本研究であきらかにされた点をあげる。 (1)すでに解明されていたアスコルビン酸とクエン酸に加えクエン酸鉄もサルモネラに同様の影響を及ぼすことが判明した。 (2)アスコルビン酸をろ紙に添加してデイスクとしたものは、常温では保存中に色調が褐変のうえ質が劣化する弱点があったが、クエン酸の場合では、褐変および力価の劣化は認められず、クエン酸または、クエン酸鉄を用いるのが常温での長期保存に適していることが判明した。 (3)これまでの研究ですでに柑橘成分がサルモネラの硫化水素産生を促進することが、あきらかであったが、逆に培地の塩分濃度が上昇するにつれて硫化水素の産生を阻害することもあきらかとなった。本研究の目的の一つである、生化学的メカニズムの解明に前進した。 (4)塩化ナトリウムの添加で、サルモネラの硫化水素産生を制御することで、TSI寒天培地で、高層部分の糖分解をサルモネラで判定するのが容易になった。 (5)以上今回の研究であきらかになった(3)および(4)の知見をもとに、「塩化ナトリウムを含むサルモネラ菌検出用培地」と題して特許出願を行った。 (6)ラオス以外、隣国カンボジアのパスツール研究所に本法の普及を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
塩化ナトリウムが硫化水素の産生を阻害することが判明し、このことで、新たな特許出願を行ったことが評価されるものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究はサルモネラのみを対象にしてきたが、硫化水素産生菌(hydrogensulfide producing bacteria)と呼べるものは、サルモネラ意外にも数多く存在する。 研究の対象をサルモネラ以外のあらゆる硫化水素を産生する菌にまで拡大したい。 これまで、ラオス、カンボジアに本法を広めたが、対象国をスリランカにまで拡大し、同国周辺への普及を試みる。
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