【ビタミンD】 ビタミンDは紫外線の作用により、皮膚で合成されることから、ビタミンD栄養状態は、日照量に大きく影響される。このため食事・日照の相対的重要性が不明であり、ビタミンDの食事からの必要量を明らかにすることが困難であった。そこで厳密な遮光生活を継続しており、紫外線由来のビタミンD産生の無視できる色素性乾皮症(XP)患者を対象に、食事調査・血清中ビタミンD濃度測定を行った。現在まだ一部の患者データの分析しか完了していないが、低ビタミンD血症例が多く、特に厳格な遮光例に多いという結果であった。 日本人の食事摂取基準2010年版において、ビタミンD摂取の目安量は220IU/日とされており、血清ビタミンD濃度の平均値が基準値以上の集団における摂取量に基づいて定められたものである。しかしこの場合でも、集団のほとんどが充足しているとは言えず、この定め方では、ビタミン不足の意義を十分反映できないことを指摘した。 【ビタミンK】 高齢者において、骨におけるビタミンK作用不足者の頻度は高いが、その原因を探るためのモデルとして、重症心身障害者(SMID)における調査を行った。経口摂取不可で、経腸栄養管理が行われ、かつ抗生物質治療を受けている対象者において、ビタミンK不足者の割合が最も高かった。すなわち腸内細菌によるビタミンK産生は、ビタミンK摂取が多い状態ではあまり関与しないが、摂取の少ない状況では、かなりの意義を持ちうることが示された。
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