研究課題
【研究の目的】本研究は、胎児期栄養を科学的に把握できる全く新しい方法として臍帯による分析法を開発し、特に胎児の脳の発生・発達に関わる妊娠期の脂肪酸の摂取状況を把握する方法の検討及び、妊娠期の脂肪酸の栄養状態と児のリスクとの関係を検討し、母子栄養環境改善のための食環境整備や妊産婦への食育に貢献することを目的としている。【方法】前年から引き続き、同意を得た対象者からアンケートとサンプルの一部採取の協力を得、脂肪酸組成の分析を行った。【結果】2年間かけ、3~59歳までの男女172名(24.7±14.0歳)の協力を得ることができ、うち26名(21.5±11.6歳)が自閉症スペクトラムと診断されていた. 昨年同様、対象者を30歳代以下(Y群)と40歳以上(O群)で比較したところ、検出できた3種のトランス脂肪酸でC16:1、C18:2で世代間の差は認められず、加工段階で作られ一番問題とされるC18:1についてのみY群がO群と比較し、有意(p<0.05)に高値を示した. その他の脂肪酸ではn6、多価不飽和脂肪酸合計、飽和脂肪酸合計で、有意(p<0.001)にY群が高値を示した. 次に、自閉症(J群)とそれ以外の群(N群)の比較で、J群で有意に在胎期間(p<0.05)が短く、妊娠中の母親の体重増加(p<0.01)章、少なく、脂肪酸の比較では、トランスの16:1 (p<0.001)とその合計(p<0.001)、EPA (p<0.001)、n6 (p<0.05)でJ群が有意の低値を示し、飽和脂肪酸では自閉症群で高値の傾向(p=0.09)を示した。【考察】出産時保存される臍帯の脂肪酸を分析したところ、食品加工段階で作られるトランス18:1が若い世代で有意に高く、時代的背景の影響を受けていることが考えられ、自閉症スペクトラムではEPA、n6が有意に低く、妊娠期にそのような脂肪酸摂取が少ない可能性が示唆された。
(抄録なし)
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Thromb Res.
巻: 131 ページ: 158-161
10.1016/j.thromres.2012.09.021.