研究課題/領域番号 |
22500788
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
福田 満 武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (90098517)
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研究分担者 |
田中 麻貴 武庫川女子大学, 生活環境学部, 助手 (70550789)
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キーワード | 大豆 / 乳酸発酵 / イソフラボン / アグリコン / 炎症性サイトカイン / TNF-α / 脂肪組織 / ラット |
研究概要 |
血中炎症性サイトカイン増加は動脈硬化による心疾患等の循環器系疾患の原因になる。疫学研究によって大豆の機能性成分には心疾患予防効果があると報告されているので、大豆素材を原料として乳酸発酵させた大豆ヨーグルトの生理作用に注目し、大豆ヨーグルト投与時のラットの血中炎症性サイトカイン低減化効果を調べた。大豆ヨーグルト投与により、ラットの血中炎症性サイトカインのうち、TNF-αが低下傾向を示したが、IL-6、IL-1βに変化は認められなかった。一方、大豆ヨーグルト投与時に血中イソフラボン濃度の顕著な増加が認められた。さらに大豆ヨーグルトのイソフラボン抽出物を投与するとラット血中TNF-αが有意に低下し内臓脂肪組織のTNF-α遺伝子の発現が抑制されたので、内臓脂肪組織のTNF-α発現抑制によって血中TNF-α濃度低下を生じたと示唆された。大豆ヨーグルトを摂取したラットでは内臓脂肪蓄積が抑制されたので、脂肪細胞肥大化の抑制がマクロファージ浸潤を抑制し、血中TNF-α低減化効果をもたらしたものと推定された。一方、乳酸発酵により大豆イソフラボンの大部分がアグリコン化したので、大豆ヨーグルトのイソフラボンは未発酵物より腸管吸収性が向上し、機能性成分として生理作用を発現したと考えられる。血中イソフラボンの脂肪組織到達によって脂肪組織のTNF-α上昇抑制に直接影響する可能性も推定された。今後、ラットに高脂肪食を投与して内臓脂肪細胞の肥大を促進させ、マクロファージの浸潤を促進して炎症を進行させる条件下で、大豆ヨーグルト摂取による炎症抑制効果を調べ、大豆ヨーグルトの血中炎症性サイトカイン低減化の機序を明らかにする。
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