ラットに大豆ヨーグルトを摂取させると、脂質代謝改善作用が現われることを既に明らかにしている。本研究では、高脂肪高コレステロール食投与ラットにおいて大豆ヨーグルトを摂取させると、内臓脂肪組織肥大によるTNF-α等の炎症性サイトカインの生成を抑制する作用を調べた。 高脂肪高コレステロール食を投与してX線CTで内臓脂肪組織量を測定すると、通常食投与時に比較して内臓脂肪組織量は増加した。しかし、高脂肪高コレステロール食投与ラットに大豆ヨーグルトを摂取させると、内臓脂肪組織量は通常食投与時と同程度まで減少した。炎症性サイトカインの血中濃度を調べたところ、高脂肪高コレステロール食投与によって炎症性サイトカインのTNF-αは有意に増加した。しかし、大豆ヨーグルト摂取により炎症性サイトカインのうちTNF-αが有意に低下し、CCL-2(MCP)は低下傾向を示したが、IL-6やIL-1βには有意な変化は認められなかった。炎症性サイトカイン低減化に有効と推測されるイソフラボン濃度を調べたところ、大豆ヨーグルト摂取により、血中イソフラボン濃度の増加を認めた。 大豆ヨーグルト摂取群において内臓脂肪組織のTNF-α遺伝子発現量が抑制されていたので、この発現抑制が血中TNF-α濃度低下の主な原因と推定した。大豆ヨーグルト摂取により脂肪組織肥大にともなうマクロファージの浸潤が抑制され、炎症抑制によって血中TNF-α分泌量が低下したと推定した。乳酸発酵によるイソフラボンのアグリコン化によってイソフラボン腸管吸収量は増加し、内臓脂肪細胞においてTNF-α増加の抑制に効果があったと推定した。以上の結果から、ラットへの高脂肪高コレステロール食投与時において、大豆ヨーグルトの摂取によって内臓脂肪組織および血中の炎症性サイトカイン低減化作用が現われることを明らかにした。
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