研究概要 |
胎児期から幼児期の成長速度はInsulin-like growth factor-I (IGF-1,インスリン様成長ホルモン)が調整しており、ヒトの羊水および血中のIGF-IはIGF結合蛋白質と複合体を形成している。pregnancy-associated plasma protein-A (PAPP-a)はIGF結合蛋白質を特異的に切断することによりIGF-1を活性化されると考えられている。その酵素の切断機構について詳細なメカニズムは不明である。そこで本年度はPAPP-aというIGF結合蛋白質の特異的切断酵素の性状を検討するために、PAPP-a蛋白質のドメイン構造の組換え体による発現ユニットを作製した。羊水中のPAPP-a蛋白質はproMBPタンパク質と複合体として存在し、その複合体ではプロテアーゼ活性が不活化されており、酵素活性の測定に用いることができない。また、PAPP-aは1,547のアミノ酸残基からなり、Arg-rich propeptide domain, LamG domain, metalloprotease domain, cystein rich repeat domain, Susi1~4 domain, Notch domainから構成されており、プロテアーゼ活性の活性化、不活性化におけるドメインの寄与は不明である。そのため、各ドメイン構造を独立して、その組合せを遺伝子組換え体で作製することを計画した。各ドメインに対するプライマーを設計し、オリゴヌクレチドを調製した。そのプライマーを用いてPCR反応を行い、各ドメインに相当するDNA断片をアガロース電気泳動で検出した。一方、PAPP-aの基質は、IGFBP-4およびIGFBP-2の切断部位が知られている。最短鎖の合成基質の得る目的で、様々な立体構造を有するペプチドを合成した。
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