研究課題/領域番号 |
22500793
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研究機関 | 中村学園大学 |
研究代表者 |
三成 由美 中村学園大学, 栄養科学部, 教授 (60239324)
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研究分担者 |
北原 詩子 中村学園大学, 栄養科学部, 助手 (70588128)
松田 千照 中村学園大学, 栄養科学部, 助手 (10565758)
徳井 教孝 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 准教授 (50207544)
酒見 康廣 中村学園大学短期大学部, キャリア開発学部, 教授 (90124130)
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キーワード | 乳幼児 / 腸内環境改善 / 日本型薬膳 / メニュー開発 / 評価 / 食育 / 中医学理論 / 体質診断調査 |
研究概要 |
「福岡県上毛町の保育所乳幼児の家庭における食料在庫状況調査」 保育所乳幼児の家庭における食料在庫調査を行うことで、家庭の食環境が明らかとなり、今後の食育指導を効果的に実践できるプログラムを開発し、健康増進や生活習慣病の予防につながるための研究を進めた。平成23年11月から、対象は福岡県上毛町の同意が得られた保育所乳幼児の保護者107名。調査内容は、食料在庫調査票を用い郵送法にて実施した。調査の結果、「いつもある」、「備蓄している」と回答された在庫率の高い上位5つの食品は米、塩、醤油、味噌、マヨネーズであった。それらの食品の在庫率をスコア化し、各平均値±標準偏差は、穀類で米が4.7±0.5、玄米・雑穀米が2.1±1.5であり、魚介類はすべて3.0以下であった。乳類は普通牛乳が4.2±0.6、低脂肪牛乳が1.7±1.0であった。冷凍食品は全て2.6以下であった。調査の結果、手軽に利用できる調味料が在庫状況の上位を占めていた。減塩に寄与する干し椎茸、昆布、煮干しなどの旨味成分を含む食品の在庫率が低い結果であった。健康増進に寄与する家庭に在庫する食材を日常の家庭料理に導入し、継続・持続可能な食育プログラムを開発する予定である。 「中医学理論に基づく子供の体質分類と薬膳食材」 本研究は、子供の生活習慣病の予防対策に、中医学理論を基本とした個々人に対応したテーラメード栄養学を取り入れることを目的に、子供の体質を分類した。子供に使用できる薬膳食材は318品であり、その食材を整理した。五味では、甘味が63.8%と高い数値を示し、帰経の五臓では、脾経が30.6%、次に肺経が23.8%であり、子供の体質で痰湿質に適した食材は生姜、大蒜、ヨクイニンであり、陰虚質に適した食材は蓮根、胡瓜などである。今後、本研究の成果である体質診断調査や薬膳食材を食教育に導入することで、子供の健康増進や生活習慣病の予防対策に貢献できるのではないかとえられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)保育所乳幼児の家庭における食料在庫調査を実施し、家庭の食環境が明らかとなり、今後の食育指導に活用するための健康増進や生活習慣病の予防につながる効果的な手がかりを得ることができた。 2)保育所乳幼児とその母親について、食生活の実態調査を行い、食事の規則性、食事の形態、野菜や食物繊維に寄与する食品の摂取状況などの実態が明らかとなった。さらに、排便習慣調査で便秘の意識、排便回数、量、時間、時刻、朝の排便する時間の有無、便の硬さなどを明らかにすることができた。 3)乳幼児を対象に肥満傾向、便秘傾向、そして非便秘の乳幼児の3群に分け、採便し腸内細菌叢の分析を行い、乳幼児の実態を明らかにすることができた。特に脂肪摂取量が高い乳幼児に比べ、低い乳幼児が有用菌の割合が高い数値を示していた。また、排便状況調査や食生活調査と腸内細菌叢との関わりについても検討することができた。今回、各体質に対応した薬膳食材を分類して、薬膳食を開発することができたが、介入研究については、対象の全乳幼児に平等に腸内細菌叢を分析し研究を進めるように、現場より強い依頼があり、予算の関係でそれらの薬膳食の摂取後における腸内細菌叢の分析には至らなかった。しかし、開発した薬膳食について乳幼児と母親について、嗜好調査を行い、今後排便効果について検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
1)乳幼児における日本型薬膳食育プログラムの行動変容強化因子としての教材を作成する。 保育所において、乳幼児と保護者である母親が地域の産物を取り入れた正しい食習慣と排便習慣を身につけるための行動変容強化因子としての教材であるCD-ROM、解説書及びカレンダーなどを作成する。 2)プログラムの評価 食育を実施するA群と実施しないB群で日本型薬膳食育プログラムの評価を行う。解析はχ^2検定、t検定により行う。これらの成果は日本栄養改善学会で発表し、論文に投稿する予定である。
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