研究課題
主に胃で産生され、摂食亢進作用を有する28アミノ酸残基からなるペプチド、グレリンの活性発現にはN末端から3番目のアミノ酸であるセリンがオクタン酸でアシル化されていることが必須とされており、その活性の抑制は肥満防止につながることが期待される。ヒト胃がん上皮細胞AGSは、グレリンのmRNAおよびオクタン酸修飾を司る酵素GOATのmRNAを発現していたが、グレリンペプチドの検出量が微量であったことから、AGS細胞にグレリンの発現ベクターを導入し、G418で選別することにより、グレリン安定発現株AGS-GHRL8を単離した。AGS-GHRL8は、グレリン、GOATおよびグレリンのプロセッシングに関与するfurinのmRNAを発現していた。親株のAGS細胞の培地では検出されなかった活性型グレリンがAGS-GHRL8の培地では検出され、培地へのオクタン酸の添加により、オクタン酸濃度依存的に活性型グレリンの分泌量が増加したことから、AGS-GHRL8はオクタン酸の取り込みおよびGOATによるアシル化の機構が機能していると考えられた。オクタン酸存在下における活性型グレリンの産生に脂肪酸が影響を及ぼすか否かを検討した結果、100μmol/Lのオレイン酸およびエイコサペンタエン酸は、オクタン酸添加により惹起された活性型グレリン分泌の増加を完全に抑制した。また、25~100μmol/Lのヘプタン酸は、オクタン酸により増加した活性型グレリンの分泌を濃度依存的に抑制した。一方、酪酸および酢酸は、活性型グレリンの分泌に影響を及ぼさなかった。以上により、活性型グレリン産生阻害を介して肥満を制御する食品素材の探索ツールとしてのAGS-GHRL8細胞の可能性が確認された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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