研究概要 |
本研究は、ガレクチンファミリーという新しいレクチン分子群の発現誘導を指標に食品成分を解析し、新規機能性食品成分として研究開発するための基礎的知見を得ることを目的としている。特にガレクチン-9は,自己免疫疾患など免疫応答過剰状態では抑制的制御作用を示す一方,悪性腫瘍など免疫低下状態では免疫賦活作用を示すなど、生体を正常な状態に戻そうとするユニークな免疫調節機能をもつ分子である。 本年度は、先ずin vitro系におけるガレクチン-9を含む8種類のガレクチンファミリー分子群の発現誘導検出系の確立を行った。ガレクチン-1,2,3,4,7,8,9,10に対してそれぞれのプライマーを作成し、β-アクチンをコントロールとしてRT-PCR法でそれぞれのmRNAの検出を試みた。ガレクチン-9は高分子と低分子の2種類が存在するが、本研究ではその両方が検出できる様、483/560bpのcDNA断片が増幅されるプライマーをデザインした。結果、ヒト末梢血単核球(PBMC)の未刺激PBMCでは、ガレクチン-1,2,3,8,9(低分子)が検出された。これに対し、10ng/mL PMA+0.5μg/mL ionomycinで24hr刺激したPBMCは、ガレクチン-1,3,8,9(高分子/低分子)を強く発現し、ガレクチン-2,4,7,10の発現は極弱くまたは全く検出されなかった。 以上のことから、食品成分のガレクチンファミリー誘導能検出には、ガレクチン-1,3,8,9(高分子/低分子)を対象に、ヒト単球系癌細胞株(THP-1, U937)を用いた簡易スクリーニング法で行うことに決定した。
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