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2011 年度 実績報告書

見えない現象を観ることに挑戦する「化学反応とエネルギー」に関する新規実験教材開発

研究課題

研究課題/領域番号 22500797
研究機関北海道教育大学

研究代表者

田口 哲  北海道教育大学, 教育学部, 教授 (60281862)

キーワード科学教育 / 化学教育 / 理科教育 / 教員養成 / エネルギー変換 / 教材開発 / 演示実験 / 実験・観察
研究概要

本年度は,前年度に開発した二つの実験,〈1〉状態変化に伴う吸熱・発熱と,〈2〉化学反応に伴う吸熱・発熱を踏まえ,化学結合の切断・生成を伴う『状態変化と化学反応』のエネルギー変化に通底する微視的原理の理解のための演示実験を開発した。その上で,これら(演示)実験を用いたカリキュラム試案の構築を開始した。
1微視的視点でのエネルギー変換の演示実験
2個の鉄球(原子のモデル)間をバネまたはゴムで接続した分子モデルを用い,結合の切断・生成に伴うエネルギー変化を理解できる教材を開発した。まず,一方の鉄球にカセンサーを接続し,もう一方の鉄球には紐をつなげてその紐を手で引き,引いた力と引いた距離(回転センサー利用)との関係をコンピュータ上にグラフとして表示することで,このグラフの面積から原子間の結合伸長に必要な仕事を求めた。この仕事は,分子のポテンシャルエネルギー増加に相当する。これを,錘を鉛直方向に持ち上げる際の仕事に伴うポテンシャルエネルギー上昇を用いたアナロジーで理解させる教材とした。すなわち,引力が働いている粒子間の結合伸長・切断の仕事で化学エネルギー(=結合解離エネルギー)が増加することを演示する実験を開発した。
次に,化学結合の切断が吸熱過程であることを理解するためのシミュレーション動画を作成した。上述の鉄球製分子モデルに別の鉄球を衝突させた際のバネ又はゴムで模擬した化学結合の伸長と切断の様子を1秒間に60コマの撮影が可能な高速デジタルカメラで撮影することで化学結合の切断が吸熱過程(エネルギーを吸収する過程)であること演示した。発熱過程はこの動画の逆再生で説明できた。
2カリキュラム試案の構築
巨視的視点での実験(22年度)と微視的視点での実験(23年度)を用いて,化学反応を微視的視点から"観る"ことを促すカリキュラム試案の構築を開始した。この際,実際の化学反応の多くは,化学結合の切断(吸熱)と生成(発熱)が同時に起こっており,観測されているのは正味のエネルギー変化の結果であることの理解を重視した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

交付申請書に記載した「研究の目的」である「化学反応に伴うエネルギー変換に関わって,直接認識できる巨視的な実験結果を基に,目には見えない微視的な現象を見ることでエネルギー変換の本質的理解を学習者に促す教材ならびにカリキュラム試案の開発」がおおむね実施計画の通り進行しているため。

今後の研究の推進方策

今後の研究計画にしたがって,申請者が担当している授業等で前年度までに開発した教材やカリキュラムを実践し,もし問題点が見出されれば,前年度までに開発した教材等の見直しを具体的に行う。特に,学習者に「化学反応の多くは,化学結合の切断(吸熱)と生成(発熱)が同時に起っており,観測されているのは正味のエネルギー変換の結果である」という理解を促せているかどうかに評価の重点を置き研究を推進する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 注射器・カセンサー・GPS・Google earthを活用した大気圧測定実験2012

    • 著者名/発表者名
      田口哲・大滝優実
    • 学会等名
      日本化学会第92回春季年会
    • 発表場所
      慶応義塾大学日吉キャンパス
    • 年月日
      2012-03-27
  • [図書] 解説実験書『新しい北海道の理科』化学編2012

    • 著者名/発表者名
      浅川哲弥, 小原繁, 蠣崎悌司, 田口哲, 平山雄二
    • 総ページ数
      1-166
    • 出版者
      北海道教育大学(「21世紀型実践的指導力を有した理科教員の養成・支援プログラムの開発」プロジェクト)

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公開日: 2013-06-26  

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