近赤外外部共振器型半導体レーザーを用いて、ルビジウム原子のレーザー誘起蛍光を観測する実験を行った。光源、光学部品及びそのマウント、原子セル、検出装置の全てを取手つきブレッドボードの上に配置し、可搬型で小型の教材化をはかった。レーザー光の周波数を連続的に掃引させながら原子セルの様子をCCDカメラで観察した結果、4か所の波長で明るく輝く蛍光線が観測できた。この線は入射レーザー光の光路と一致しており、レーザー光による原子のレーザー誘起蛍光と確認された。入射光強度が0.1mW/cm^2以下でもモニタ上で明確に確認できるほどの蛍光量が得られ、かつ再現性よくこの様子は観察することができた。これらより、上記で製作した実験機器はボーアの振動数条件を示すのに適した実験教材性能を有すると認められた。実験台自体が可搬型のブレッドボードなので、今後はこの機器を移動して科学実験教室や物理学の学生実験授業へと利用する方策を検討する予定である。 ホロカソードランプを用いた光電効果実験では、放電プラズマのインピーダンス変化を観測するための実験機器を設計し、製作した。ランプの固定具を用意し、高電圧に耐えられるバラスト抵抗、及び交流電気信号検出用のコンデンサを購入し、信号検出回路を製作した。放電用の高圧電源にこれらの回路を接続したあとランプにも接続し、およそ300V以上で安定して放電が生成されることを確認した。光電効果を起こすための入射光源としてハロゲンランプを整備し、そこからの出力光をホロカソードランプへと導く光路の設計と配置を行った。H23年度以降、光電信号の検出に取り組む。
|