研究課題
本研究は、化学反応の実験とその反応機構をCGにより可視化した教材とからなる実験学習プログラムを作成し、その学習効果を検証するものである。使用する教材は化学反応が進行する様子を量子化学計算に基づいて作成したCG動画をタブレットパソコンで観察できるようにしたものであり、実験室に持ち込んで使用する事を想定している。学習者は、実際に見ることが出来ない分子の組み替えというミクロなイメージをCG教材で観察し、実験を通して物質に触れることでマクロなイメージを獲得する。その両者をリアルタムにおこなうことでイメージの統合が期待される。本年度の結果1.シクロペンテンへのハロゲン付加についての液相および気相における反応経路、Walden反転における分子構造の変化、HI生成における分子構造とエネルギー変化のCG教材を本学教育学部において試行することができた。2.アンケート調査によりCG教材の効果と実験プログラムへの適応性を検討した。三次元表示したポテンシャル面と連動した二次元表示の等値面やスペースフィリングモデルによる分子構造の変化を通して、学習者は反応に伴うエネルギー変化のイメージを獲得できることが分かった。タブレットパソコンを用いるとプロジェクターを使った一斉授業の場合よりも学習者の興味を引きつける効果が高かった。この理由として手元にあるために画像がよく見えること、学習者の意図する箇所を何回でも納得するまで見られることが示された。2.ベンゼンのニトロ化を題材とした実験学習プログラムを作成する目的でシグマ錯体経由の反応機構について半経験的分子軌道法による計算を行い、反応経路を求めた。計算結果からCG教材を作成した。併せてスモールスケールでの合成実験の条件を検討し、実験テキストを作成した。
3: やや遅れている
CG教材および実験教材の双方が整いつつある。また、端末を申請時に予定していたiPodTouchから、より見易いiPadに変更したため、学習効果が高くなった。しかしながら端末の価格が倍増したため購入台数が減少してしまい、クラスサイズに見合った台数が確保できず、実験まで含めた試行ができていない。
本年度はCG教材と実験テキストを統合した電子テキストの作成を行う。また、少人数のクラスにおいて模擬授業を行い、効果を検証する。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)
Proceedings of the Seventh IEEE International Conference on Wireless, Mobile and Ubiquitous Technology in Education
ページ: 82-86
DOI10.1109/WMUTE.2012.21
Proceedings of the 19th International Conference on Computers in Education. The Work-in Progress Poster, ISBN978-616-12-0187-6
ページ: 31-33