数学学習を連続的に展開するには、どのような考えを原理としそ考えていけばよいのかついて理論的に考察した。まずは、数学的モデルについては、「抽象化:具体→抽象」と「具体化:抽象→具体」の2方向があり、両方の活動に焦点を当て、これらを交互に取り扱っていくことを考える。原初的には現実世界で生じた問題に対して、ある目的から数学的モデルをつくって解決する。ここで、現実の問題が解決されると同時に、児童・生徒の内的な世界に数学的モデルがつくられたことになる。この数学的モデルは、ある目的に関してのみ、現実場面の問題と同型といえる。それゆえ、数学的な世界に現実場面に整合する他の要素はないのか、現実的な世界に数学的モデルと整合する他の要素はないのかが問われることになる。両者に整合となる要素をさらに探すこと、両者に不整合となる要素を探すことが、数学的モデルをつくって解決したことによって引き起こされることになる。この問いが生まれることが、数学教育を連続的に展開させる第1の原理となる。この原理を基に数学学習を考えていくことをモデル主義に基づく数学教育と呼ぶことにする。そして、この原理においては、具体的な世界の問題を解決するのに、抽象的な世界で考えることが手助けとなり、抽象的な世界の問題を解決するのに、具体的な世界で考えることが手助けとなる。「互いが互いを成長させる」が、モデル主義の核心となる。
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