(1)国内外の学会において、最新の統計教育に関する資料収集を継続して行った。また、本研究の成果として、2項分布モデルに関する教材開発に関する発表も行った。新学習指導要領改訂にともない、算数・数学科や情報科において統計・データ解析分野の内容が多く導入されつつあることから、以下の大会・研究会等において、統計教育分野の研究情報を収集分析した(第12回数学教育世界会議・日本科学教育学会年会・日本教育工学会全国大会・日本数学教育学会数学教育論文発表会)。 (2)高等学校普通教科情報「情報の科学」において、離散・計数データを対象とし2項分布にしたがう現象に関する統計教育内容と、モデル化とシミュレーション分野の教育内容との共通性・独自性を検討した。これらの分析をもとに、教科情報の教材試案を作成した。統計教育ソフトウェア「ファザム」及び「ティンカープロッツ」を利用することによって、教科情報「情報の科学」の効果的な学習が可能であることが確認されているが、これらのソフトウェアが有料であり多くの学校での導入が困難であることから、「エクセル」等の通常の表計算ソフトウェアを活用するバージョンを作成した。 (3)上記試案にもとづいた授業を、大学におけるテーマ別教養科目「数理の発想で見る自然・社会・人間」の授業において試行し、教材の評価・改善を行った。 (4)受講者が授業中に学習して気づいた点、改善点等を記述した授業内レポートや、アンケート等の資料をもとに、教材を改善するとともに、実践的配慮事項をまとめた教師用解説書を作成した。 (5)高等学校段階の前後の小学校・中学校及び大学教養課程の統計教育カリキュラムとの接続について考察し、留意点をリストアップした。
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