「研究の目的」高等学校・新学習指導要領に新設された「課題研究」は生徒が調べる楽しさを学ぶ上で重要な取り組みで、様々な課題・方法を用意すべきである。これまで、植物を対象とする標本作成法を考案している。本研究では、より標本作製が困難な動物組織を観察するための手法の開発と課題の充実を目的とた。 「研究経過」一般的な動物組織の標本作成には、パラフィン包埋、ミクロトームで薄切等、煩雑で、長時間を必要なため、高等学校で実施されることはない。そこで、包埋剤としてOCTコンパウンド、試料の支持体として、予め20%エタノールで置換したブロッコリー髄を用いる簡易凍結徒手切片法を考案し、パラフィン切片法と同様に質の高い標本を、1時間という極めて短い時間で作成し、高等学校で実践した。 (1)京都府立城南菱創高等学校教養科学科自然科学系統の生徒40名を対象に、「簡易凍結徒手切片法を用いた動物組織の観察 -動物の体の中で細胞が・・-」の課題のもと、平成23年度高大連携授業を、2012年2月22日、及び2013年2月20日に実施した。簡易凍結切片法を用いた動物の組織実習を実施した。流れとしては、ビデオによるマウス解剖と器官の説明、固定した腸、精巣の組織標本の作成と観察である。(2)京都府立山城高等学校普通科II類理数系の生徒40名を対象に、「体の作られ方を学ぶ—有羊膜・ニワトリ胚の体—」の課題のもと、平成24年度SPP講座型授業(AG120509)を、2012年9月13日、及び2012年9月20日に実施した。(3)京都教育大学附属高等学校及び京都府下高等学校の生徒約15名を対象に、「動物の組織・分裂細胞を見てみよう」の課題のもと、マウスを材料に小腸上皮細胞と精巣精原細胞の分裂を検出し、幹細胞の概念を学ぶ実習を、平成24年度SSC活動として2012年10月27日に実施した。
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