研究概要 |
我が国の理科教育(物理分野)の改善と発展のために,「青少年のための科学の祭典・実験工作教材資料集」をもとにした科学的体験を重視した体系的・系統的な指導資料を作成し,現職教員のスキルアッププログラムを開発することを目標とした。 小学校から高等学校までの理科教育の中で,物理分野を苦手とすることが多い小学校教員の資質の養成が1つの重要なポイントとなっていることを確認した。平成23年度から小学校の新しい学習指導要領が本格実施されるが,小学校の理科教科書の分析結果から検討したところ,小学校理科教科書総ページ数は,前学習指導要領のものと比べ25%増加していること,また,物理分野の割合が20%から25%に増えたことが確かめられた。さらに,新しい教科書に導入された物理分野の単元内容に関しては,風やゴムの働きにおける力と運動の取扱いや,電気の働きにおける電流の熱作用の項についての課題が明らかになった。 これらの調査結果に基づいて,小学校教員向けの理科(物質・エネルギー分野)の指導資料を,(1)力と運動,(2)電気と磁気,(3)光・音・熱の現象の3つのカテゴリーにわけて作成に着手した。それぞれの項目は,小中高の理科の内容の系統性を踏まえつつ,基礎的な科学概念の理解に基づいて教科書の指導内容を解説するものである。さらに,これに対応する理科の実験(教科書レベルのもの)をまとめた映像コンテンツを作成中であるとともに,ustreamとtwitterを用いた「ココ見て理科じっけん」というライブ配信による現職教員へのアプローチを試みている(http://cse. osaka-kyoiku. ac. jp/ school. html #shidouyouryou http:// twitter. com /#!/cocorikal)。
|
今後の研究の推進方策 |
小学校教員向けの指導テキストの編集を進める。デジタル教科書のオーサリングソフトが登場しており,指導テキストはマルチメディア化して配布することを検討する。また,指導テキストの活用と現場教員からのフィードバックのために新たに研修を企画することが時間的に困難なので,現在実施している核種の研修プログラムの中にその内容を展開することで,改善を進めたい.
|