研究概要 |
本研究の目的は,自然現象の場面における数量の関係を総括的にとらえ表現する能力に焦点を絞り,(1)現象の変化をグラフに表す能力と(2)グラフから現象の変化を読み取り表現する能力,つまり,事象の変化とグラフをつなげる表現力を育成する教材開発とその教育的効果を実証的に明らかにすることである. 平成23年度は,鹿児島大学附属小学校5年生と鳴門教育大学附属中学校2年生を対象とした研究授業を実施した.これらの授業では,生徒同士が伝えあう学習環境として,児童生徒が歩いた距離と時間のグラフをリアルタイムに表示するグラフ電卓と距離センサーを活用した.これらの機器を使って,自ら動いて描いたグラフを言葉(日常用語や数学的用語など)を通して別のグループへ伝えるための熟考と,受け取ったグループは言葉を読解してグラフを再現する評価活動を通して,事象の変化とグラフとの関係をつなぐための表現力を高めることができた. 来年度は,これらの授業を(1)伝えあう学習環境による表現力を高めるための教材に対する生徒の関心・態度・意識の変容,(2)認知心理学的立場から実験活動における生徒の認知的変容,の2つの観点から分析する.実際には,デジタル・カメラとデジタル・ビデオに記録した生徒の実験活動における行動や発話を分析し,評価用コンピュータで編集し統計的に処理する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度は,鹿児島大学附属小学校5年生と鳴門教育大学附属中学校2年生を対象とした研究授業を実施したが,その授業分析と研究成果の発表が年度内に行えなかった.また,iPad型タブレットPC環境下で教材が活用できるように教材の一部の改良を行ったが,実際の授業に活用するまでには至らなかった.
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