研究概要 |
本年度は昨年に引き続き、教材素材及び実験系の開発を試みた。 1.緑のカーテンによる冷却効果を活用して省エネルギー化を図る試みが各地で見受けられる。この緑のカーテンの冷却効果を温湿度データロガーやサーモグラフィー装置を用いて空間的、表面的に、以下の3つの要因から評価した。そこからは、空間的な効果はあまり認められなかった。従って,緑のカーテン効果は、風通りのある遮光によるヒト涼しさ感受と考えられる。 (1)遮光効果:夏午前中の熊本市内の小学校校舎の壁の表面温度は、日向が約37.5℃、日陰が約35.1℃で日向の方が約2.4℃高かった。 (2)水蒸発による温度上昇抑制:乾いた緑布Bと濡れた緑布Aの布裏の空間温度を測定した。布Bと濡れた布Aの温度差は最大で約4℃で、乾いてくると気温がほぼ等しくなった。布表面温度は濡らす前では熱画像上で3点の平均が約44.6℃だったが、濡らしたものは平均で約29.2℃となった。空間の温度は布の放熱に多少影響された。 (3)風通りによるヒト皮膚での気化熱:布のカーテンは風を遮るが、緑のカーテンは隙間があるので風の通りがある。この風が汗をかいた人に当たると気化が促進され、体表面の熱を奪うので涼しく感じる。ヒトの腕に3×3cm正方形にワセリンを塗って腕全体を濡らす。その腕に風を送ると、濡れている部分は約1.2℃低下したが、ワセリンで水をはじいた部分はほとんど変わらなかった。 (4)空間冷却の効果は小さい:上記小学校教室内の気温を、緑のカーテンがある教室Aとない教室Bで測定した。A教室はB教室に比べ10:00~14:00では平均で約0.3℃低かったが、14:00以降はほとんど変わらなかった。 2.維管束機能理解のための葉脈での転流糖、無機養分検出 ヒメジョオン葉脈でのショ糖,硝酸イオン検出実験法を児童が実施可能な形で確立し,小学校理科授業で用いた。
|