研究課題/領域番号 |
22500823
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
浅賀 宏昭 明治大学, 商学部, 教授 (80231877)
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キーワード | 科学教育 / 酵素反応 / 細胞・組織 / 蛋白質 |
研究概要 |
「生命の最小単位としての細胞の保存と培養の難しさ」を理解させる実験系の開発においては、まず導入実験として、一つひとつを細胞のモデルに見立てることができる「卵」(サケの卵=イクラ、殻を除去した鶏卵、殻を除去したウズラ卵)を用いて、液体窒素やドライアイスを用いて凍結・融解実験を行った。「卵」を凍結させる際の凍結液の組成を変えること等により、凍結・融解後に破裂しにくい条件をほぼ決定することができた。この実験と、凍結・融解後に破裂しやすい条件下での実験(対照実験)を比較することによって、細胞モデルの凍結保存の難しさを示す実験系となると結論した。ただし、比較的大きめの鶏卵を用いると、視覚的にはインパクトがあるため、演示実験には適していると思われたが、実験成績が悪く(対照実験との差が出にくい)ので、やや小さいためインパクトには欠けるが、材料としてはウズラ卵が良いように思われた。次に、培養細胞を用いた実験を行った。マウスの腹腔にチオグリコレートを注射して得た腹腔マクロファージを用いて、液体窒素やドライアイスを用いた凍結・融解実験を行った。条件を変えて行ったが、最適と思われた条件においても、限られた時間で凍結・融解を行うと、生かしたまま細胞を回収することはかなり困難であることが分かった。 「タンパク質の一般的な性質と、それぞれの分子に固有の性質および機能があること」を示す実験系の開発においては、安価な材料で小型の電気泳動漕を手作りし、それを用いてゲル電気泳動法を行い、その後のザイモグラムにより複数の酵素活性の検出を行なった。その結果、複数の酵素活性を示す試料に含まれる酵素の成分が、それぞれ別のタンパク質成分に対応していることを視覚的に示すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調である。ただし、「生命の最小単位としての細胞の保存と培養の難しさ」を理解させる実験系の開発のうち、培養細胞を用いた実験についてだけは十分にできなかった。これは、東日本大震災後に実験室がしばらく使えなかったことや、実験器具が壊れたことによるところが大きい。
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今後の研究の推進方策 |
昨年までの成果で、生きた細胞(培養細胞)を用いての凍結・融解実験の検証が不十分であったので、この点を重点的に進めねばならないと考えている。他はほぼ予定通りである。
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