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2011 年度 実績報告書

高等教育の基盤としての数学コンピテンシー及びその測定法に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22500824
研究機関湘南工科大学

研究代表者

水町 龍一  湘南工科大学, 工学部, 准教授 (50157517)

研究分担者 御園 真史  島根大学, 教育学部, 講師 (60467040)
キーワード数学的コンピテンシー / 数学的思考力 / 学力調査 / 学力と態度 / 項目反応理論 / 数学的コミュニケーション / 質問紙調査 / 項目識別力
研究概要

第1に,学生テスト調査を22年度に引き続き行った。23年度版問題冊子を4種類作成,30分~40分の解答時間,受験者は22大学2174名。22年度の約57%増である。また,数学への好悪観を自由記述で具体的に調べることを主目的とした質問紙を開発し同時調査を行った。テスト問題の傾向は,22年度と異なり,概念的知識記憶や単純な手続き的知識の定着を調べる問題を全体の1/3程度含めた。諸事情で実施時期が4月~9月に及び,また,当初予想より2倍程度の受験者数となったので,処理に一定の遅れが出ている。第2に,22年度テスト結果の分析を幾つかの学会で発表した。基本的統計量と項目反応理論2母数モデルにより能力値を算出し,受験者を能力値でクラスに分割して各クラスの学力を調べる事を基本としている。入学方法別,学部別による分析からは一定の興味ある観察ができる。また,クラスによる学力格差が甚大なものであることが明らかになった。分析には,項目識別力や正答確率の実測値を活用している。さらに質問紙調査の分析とテスト結果による能力値をクロスし,学力と態度の関係について得た結果を一部口頭発表した。第3に,数学コンピテンシーの概念枠組研究の準備を進めている。本研究は高大接続点における「数学コンピテンシー」を調査するが,国内的には先行研究がほとんど無い。国際的にも十分ではない。国内では学校教育を含めて「数学コンピテンシー」への注目自体が未熟である。従って数学コンピテンシーに関する概念枠組の構成をテスト結果の分析と同時並行的に進めねばならない。23年度においてはICME12(23年度7月,於ソウル)での発表準備としてこれを進めた。3つの数学コンピテンシー(具体的文脈での数学使用力,数学的思考力,数学コミュニケーション力)を提唱する共に,本テスト結果から主に数学思考力に焦点を合わせ,その内容を具体的に提案する準備を進めている。コミュニケーション力の一部である「説明する力」も本テストでは少数の問題ながら測定し,測定法の開発が進んだと言える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2年にわたるテスト調査を行い,対象者は合計3500名を越えた。質的調査については,学生インタビュー調査の結果を踏まえた質問紙調査による数学学習に関する態度を主とした調査に切り替え,2000名を越える調査を行った。出題した問題の評価に関する概念的な枠組とそれに基づく問題評価につき,やや時間がかかったが,一応の結論を得てまとめに入っている。国際会議(ICME-12)での口頭発表も予定している。

今後の研究の推進方策

データの最終整理,エラーチェックを行い,論文を作成する。論文は,(1)テスト・データのまとめと,誤差解析等の統計処理の結果をまとめた報告,(2)テストの概念枠組の設定と各問題の評価を詳述したもの,(3)質問紙調査の結果と分析,(4)学生の学力に関しての仮説のまとめ,についてそれぞれ執筆する必要があろう。これらをまとめ,最終的な報告会を2013年3月に開催する予定である。前後して,データを極力公開する予定である。

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (11件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 「数学どこが好き・嫌い」予備調査について2011

    • 著者名/発表者名
      水町龍一
    • 雑誌名

      第44回数学教育論文発表会論文集

      巻: 2 ページ: 1035-1040

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 人口密度の比較問題の解法に関する調査結果2011

    • 著者名/発表者名
      小林文美子
    • 雑誌名

      第44回数学教育論文発表会論文集

      巻: 1 ページ: 387-392

    • 査読あり
  • [学会発表] 三段論法の複合における表現の問題2012

    • 著者名/発表者名
      水町龍一,御園真史
    • 学会等名
      数学教育学会
    • 発表場所
      東京理科大学
    • 年月日
      20120300
  • [学会発表] 2010年度数学コンピテンシーテストの分析-基準値からの差を表現した表に関する問題について-2012

    • 著者名/発表者名
      小林文美子
    • 学会等名
      数学教育学会
    • 発表場所
      東京理科大学
    • 年月日
      2012-03-29
  • [学会発表] 大学生の数学力全国22大学調査の結果より2012

    • 著者名/発表者名
      水町龍一
    • 学会等名
      京都大学高等教育研究フォーラム
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      2012-03-15
  • [学会発表] 三角形の面積公式の説明問題に関する再論2011

    • 著者名/発表者名
      水町龍一,御園真史
    • 学会等名
      数学教育学会
    • 発表場所
      信州大学
    • 年月日
      20110900
  • [学会発表] 関数のグラフから式を表現することについて-大学生を対象としたインタビュー調査-2011

    • 著者名/発表者名
      小林文美子,水町龍一
    • 学会等名
      数学教育学会
    • 発表場所
      信州大学
    • 年月日
      20110900
  • [学会発表] 大学入学者の数学力測定の試み2011

    • 著者名/発表者名
      水町龍一,小林文美子,御園真史
    • 学会等名
      日本科学教育学会
    • 発表場所
      東京工業大学
    • 年月日
      20110800
  • [学会発表] 「数学どこが好き・嫌い」予備調査について2011

    • 著者名/発表者名
      水町龍一
    • 学会等名
      日本数学教育学会
    • 発表場所
      上越教育大学
    • 年月日
      2011-11-13
  • [学会発表] 人口密度の比較問題の解法に関する調査結果2011

    • 著者名/発表者名
      小林文美子
    • 学会等名
      日本数学教育学会
    • 発表場所
      上越教育大学
    • 年月日
      2011-11-12
  • [学会発表] 全国大学生数学力調査の結果より2011

    • 著者名/発表者名
      水町龍一
    • 学会等名
      日本リメディアル教育学会
    • 発表場所
      名桜大学
    • 年月日
      2011-11-11
  • [学会発表] テストレットモデルによる数学テストの問題項目分析2011

    • 著者名/発表者名
      御園真史
    • 学会等名
      日本教育工学会
    • 発表場所
      島根大学
    • 年月日
      2011-10-29
  • [学会発表] 大学生の数学力と高校教育への期待2011

    • 著者名/発表者名
      水町龍一
    • 学会等名
      日本数学教育学会(高等学校部会)
    • 発表場所
      日本大学高等学校
    • 年月日
      2011-08-01
  • [備考]

    • URL

      http://www.info.shonan-it.ac.jp/mizumachi-lab/page2.html

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公開日: 2013-06-26  

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