本研究では,高専の学生(特に低学年の学生)を対象として,情報技術に対する興味の掘り起こしと勉学意欲の強化を目指し,インタラクティブ性に優れた電子教材および教育支援システムの開発に取り組んでいる。本年度の主な成果を以下に示す。 1. Kinectセンサを利用した拡張現実に基づく講義支援システムの開発: Kinectセンサを利用することで,AR(拡張現実)空間内に配置された仮想的なオブジェクトを,教師の動きに合わせて操作することが可能になる。今回開発したシステムでは,仮想的なオブジェクトとして,「教材フリップ」「メニューボタン」を実装し,それらを教師の身体動作によって制御する機能を実現した。これにより,教師と学生がAR空間に構築された「ハイパークラスルーム」内で教育・学習を行うというこれまでにない教育環境が創出される。 2. タブレット端末から利用するフィジカルコンピューティング体験教材の開発: Android端末にUSB接続できるArduino互換のI/Oボード「ADKボード」を利用したフィジカルコンピューティング教材を開発した。そこでは,ADKボード上の各種センサの値を取得したり,ボードに接続されたLEDやサーボモータを制御するプログラムの開発を容易にするため,AndroidタブレットからGUIによりプログラミングできる環境を構築した。これにより,プログラミング経験のない学習者でも,手軽に,フィジカルコンピューティングを体験することができる。 3. Kinectセンサと無線センサデバイスSunSPOTを利用したプログラミング演習環境の構築: 「KinectとSunSPOTを組み合わせる」ことで,姿勢認識プログラムの出力を,離れた場所にあるハードウェア制御という形で現実世界の動きとして見せることができる。本研究では,このような体験を支援するためのプログラミング演習環境を構築した。
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